2012年12月29日土曜日

松井秀喜の引退発表と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、現役引退を発表した松井秀喜外野手の話題。

年末に大変なニュースが飛び込んできました。と言っても、心のどこかでは時間の問題かとも思っていたのですが・・・。ニューヨーク・ヤンキースで活躍し、2009年のワールドシリーズMVPにも輝いた松井秀喜が記者会見を開き、引退を表明しました。今シーズンは5月にタンパベイ・レイズに入団するも打率1割台と振るわず、8月に解雇。以後、契約する球団は現れませんでした。今オフは、来シーズンからアメリカンリーグに移動するヒューストン・アストロズが獲得を検討しているという噂も流れましたがオファーはなく、本人もここまでと感じたのかも知れません。

松井のキャリアのハイライトは、やはりヤンキースでの最後の年、ナショナルリーグのチャンピオン、フィラデルフィア・フィリーズと対戦したワールドシリーズで3本塁打、打率6割を記録してシリーズMVPに輝いたときでしょう。松井のプロ選手としてのキャリアは20年、日本とメジャーでちょうど10年ずつ。メジャーの後半は長年のプレーで痛めた膝の故障に悩まされ(東京ドームの人工芝の悪影響とも言われています)、結局それが引退を決意させる原因となってしまいました。

メジャーで通算1253安打、175本塁打、760打点、オールスター出場2回。一流選手と呼ぶにふさわしい成績ですが、これ以上の数字を残した選手はいくらでもいます。しかし、記録や数字では計れない価値が松井にはありました。たとえば常に状況に応じたバッティングやベースランニングが自分の判断でできることを、ヤンキースの前監督ジョー・トーリは絶賛しています。また試合が終わった後、調子が良くても悪くても記者のインタビューに嫌な顔ひとつせずに答える態度は、選手に厳しいニューヨークの記者も「松井は紳士だ」と高く評価。そして何より、決して手を抜くことなく常に100%のプレーを心がけるプロフェッショナリズム。こんな松井をチームメイトやファンは愛し、実際ニューヨークに住んでいる日本人が「松井のおかげで現地での日本人の好感度が上がった」と証言しているくらいです。

松井の引退発表は昨日のMLB公式サイトのトップを飾り、ニューヨークの新聞やテレビでも大きく扱われたことが報じられました。寄せられた言葉にも、いかに松井が尊敬されていたかが現れています。

「これまでに何度も言ってきたけど、もう一度繰り返す価値があるから言う。ヤンキースで大勢のチームメイトとプレーしてき中で、ヒデキは僕のもっとも大好きな選手の一人だ」
---デレク・ジーター(ヤンキース遊撃手)

「松井は野球が世界中のファンを熱狂させることを証明してくれた。彼のキャラクターに人々はみんな引きつけられる。彼はどこを切っても真のプロフェショナルであり、ヤンキースの一員として優勝トロフィーを掲げるにふさわしい人物だ」
---ブライアン・キャッシュマン(ヤンキースGM)

「今のチームがあるのは、彼が様々なことを実現してくれたおかげだ。彼は技術の向上に努力していたし、チームやファンに対する責任を進んで受け止めていた。大事な場面で自分自身を高めることができる選手だった。今後もヤンキースの家族として愛される選手だ」
---ハル・スタインブレナー(ヤンキースオーナー)

MLB公式サイトの記事に寄せられたコメントも暖かいものばかり。日本人からではなく、ほとんど米国のファンからです。本当に現場のメジャーのファンは「わかって」います。

「彼を嫌いになることなんてできない。引退後の生活を楽しんでね」

「フィールドの中だけでなく外でも輝ける人物こそが真のヒーロー。松井はまさに親が子どもに見習ってほしい人物だった」

「ヤンキースのユニフォームを着た選手はたくさんいるけど、『あいつはヤンキーだ』と言える選手は少ない。松井はヤンキーだ」

「ヤンキースは来シーズンの開幕戦の始球式に松井を呼ぶべき!」

「セイバーメトリクスだと?笑わせるな。そんなもので選手の価値が計れるはずがないことをヤンキースのファンは知っている。背番号55はいつも期待に応えてくれた。彼のワールドシリーズMVPは幸運のせいじゃない。ハートとスキルとガッツ!だよ。ヒデキ、本当にありがとう。さびしいよ」

成績も立派ですが、ここまで海外で人間として高く評価された日本人スポーツ選手が過去いたでしょうか。あまり知られていませんが、松井がヤンキースを退団した翌2010年、一年限定でしたが球団は背番号55を欠番扱いにしていました。

与田剛さんの現役時代と松井の巨人での新人時代は重なっていますが、対戦したことはあったのでしょうか。ご本人からも松井の印象を聞いてみたいですね。ともあれ、おつかれさまでした。


2012年12月27日木曜日

フルモデルチェンジしたブルージェイズと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、このオフに積極的な補強を行い、来シーズンは今シーズンとは別のチームのようなオーダーで開幕を迎えるトロント・ブルージェイズの話題。

すべての始まりは、マイアミ・マーリンズの「ファイアーセール」でした。もう何度も書いていますので詳しくは書きませんが、メジャー史に残るであろう「たった一年でレギュラー選手ほぼ全員放出」をやってのけたマーリンズ。しかしこのことは、他チームにとっては有力選手を獲得できるまたとない機会でもあったわけです。そして、その恩恵にもっとも浴したのがトロント・ブルージェイズでした。

ブルージェイズがマーリンズから獲得したのはエース右腕のジョシュ・ジョンソン投手、二番手左腕のマーク・バーリー投手、昨年のナショナルリーグ首位打者ホセ・レイエス遊撃手、同じく昨年リーグ盗塁数2位でどこでも守れるエミリオ・ボニファシオ内野手、ジョン・バック捕手(バックはその後ニューヨーク・メッツにトレード)。ブルージェイズがこのスターの詰め合わせを得るために出した選手は今シーズン9勝14敗のヘンダーソン・アルバレス投手と打率.253のユネル・エスコバー内野手、あとはマイナーの若手選手。マーリンズにとってはただ年俸総額を削るためだけの大放出、ブルージェイズにとってはエビで鯛を釣る以上の大収穫でした。

もともとブルージェイズはホセ・バティスタ、エドウィン・エンカーナシオンという本塁打王を狙える長距離砲を有しています。彼らをそのままに、マーリンズから主軸投手2人とスピードのあるキーストンコンビを獲得してもう十分かと思ったら、今季サンフランシスコ・ジャイアンツで禁止薬物によりシーズン途中で謹慎させられたメルキー・カブレラ外野手を獲得。今シーズンのカブレラはオールスターでMVPに輝き、謹慎までは首位打者を狙える打率をマークするなど絶好調。来シーズンもこの調子が続くなら脅威です。

さすがにこれで打ち止めだろうと多くのファンが一息ついたところに、ブルージェイズはもう一つ大型トレードを仕掛けます。なんと今シーズンのナ・リーグのサイ・ヤング賞投手、20勝をあげて奪三振王も獲得したナックルボーラー・R.A.ディッキーとディッキー専用捕手ジョシュ・トーリをメッツから獲得。さすがに「もらってばかりでは悪い」と思ったのか、代償としてメジャー全体でも高く評価されるスター候補生トラビス・ダーノー捕手とノア・シンダーガード投手を放出したのでした。

ここまでのブルージェイズの獲得選手、残留選手を整理すると、来シーズンのオーダーはこんな感じでしょうか(★は新加入、☆は残留)。

★先発投手  R.A.ディッキー
★先発投手  ジョシュ・ジョンソン 
★先発投手  マーク・バーリー 
☆先発投手  ブランドン・モロー
☆先発投手  リッキー・ロメロ
☆救援投手  ケイシー・ジャンセン

☆捕手      J.P.アレンシビア
☆一塁手   アダム・リンド
★二塁手   エミリオ・ボニファシオ
☆三塁手   ブレット・ローリー
★遊撃手   ホセ・レイエス
★左翼手   メルキー・カブレラ
☆中堅手   コルビー・ラスムス
☆右翼手   ホセ・バティスタ
☆指名打者  エドウィン・エンカーナシオン

先発の3本柱は盤石、クローザー(与田剛さんもクローザーでした)は22セーブのジャンセンが残り、攻撃は長打力とスピードの両方を兼ね備え、守備もまずまずのレベルです(投手のバーリーはゴールドグラブ4回)。

ブルージェイズは今シーズン、アメリカンリーグ東地区4位でした。最下位は免れましたが優勝争いは完全にカヤの外。この凄まじい補強を見る限り、来シーズンは本気で優勝を狙いに来ているのは間違いないでしょう。悪くてもプレーオフ進出はノルマといったところでしょうか。ここまで駒を揃えてもらって、ジョン・ギボンズ監督には優勝のプレッシャーが強くのしかかっているに違いありません。WBCの日本代表チームで各チームのエースを預かる与田剛さんも、同じ気持ちかも知れませんね。




2012年12月24日月曜日

メジャーで一番の「嫌われ者」ピアジンスキーと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、FAでテキサス・レンジャースとの契約が決まったA.J.ピアジンスキー捕手。

今シーズンのレンジャースの捕手はマイク・ナポリと途中移籍してきたゲオバニー・ソトでした。しかし、FAになったナポリはボストン・レッドソックス入りが決定。ならば来シーズンはソトが正捕手になるかというと、少々心配ではあります。また怪我の多いポジションだけに捕手はもう一人絶対に必要です。そんな中、白羽の矢が立ったのはシカゴ・ホワイトソックスからFAになったA.J.ピアジンスキー。36歳とベテランですが、今シーズンは自己最多の27本塁打(捕手としてアメリカンリーグ最多)、77打点をマークしてシルバースラッガー賞を受賞し、「打てる捕手」としての健在ぶりをアピールしました。

来シーズン、ダルビッシュ有投手とバッテリーを組む可能性が高いことから日本でも報道されましたが、ピアジンスキーの名前は、実はあまり良くない評判とともに有名です。それというのも米国の男性雑誌の「選手に最も嫌われている選手」のアンケートで彼はダントツの1位に輝き(?)、さらにスポーツ・イラストレイテッド誌の「最も卑劣な選手」のアンケートでも1位になったほど、悪役ぶりには定評があるのです。

嫌われる原因としては、そのアクの強い性格があげられます。相手打者に対して汚い言葉で挑発したり集中を乱すような、いわゆる「トラッシュトーク」を多用したり、味方に対しても若手投手には「何も知らない田舎者のように扱う」と言われ不評を買っています。好調ながらオールスターに選ばれなかった年、アメリカンリーグの監督がピアジンスキーに「出場させてあげられなくて悪かった」と詫びると「悪いと思っているなら出せよ」と答えたこともあるそうです。極めつけはシカゴ・カブスとの試合中の相手捕手との殴り合いの大ゲンカ。ホワイトソックス時代のオジー・ギーエン監督すら「あいつが敵ならかなり嫌だが、味方なら少し嫌だ」と擁護しているのかどうかよく分からない発言をしているくらいです。逆に言えば「口が立つ」ということで、プレーオフのテレビ中継のゲスト解説者に呼ばれたこともあります。

本業のほうは、通算155本塁打、打率.284、打点730は捕手としては立派なもの。広角に打ち分ける巧みなバットコントロールには定評があり、ミネソタ・ツインズ時代の2002年、2003年には3割をマークしています。リード面でも、ホワイトソックス時代にマーク・バーリーのノーヒットノーラン、フィリップ・ハンバーの完全試合のマスクをかぶっていたのはピアジンスキー。そしてこのピアジンスキー、マスクを取ると俳優クラスの男前。ダルビッシュとのイケメンバッテリーも楽しみですが、ダルビッシュはソトと相性が良いので、ダルビッシュ登板時はDHでの起用もあるかも知れません。オフにはプロレスラーにもなるという、この魅力的な悪役の加入はレンジャースにとって吉と出るかどうか。少なくともファンにとってはレンジャース戦を見る楽しみが一つ増えましたが、与田剛さんはどうでしょうか。


2012年12月22日土曜日

ヤンキースとの2年契約が決まったイチローと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ようやくニューヨーク・ヤンキース残留の正式な発表がなされたイチローの話題。

本当に「ようやく」です。オフに入ってまず黒田博樹投手のヤンキース残留が決定、イチローはどうなるのかと日本のファンはやきもきさせられ、スポーツ紙には何度か「残留決定」の記事が出ました。が、メジャーリーグファンは基本的に日本のマスコミは信用しません。スポーツ紙に出た情報は、とりあえずMLB公式サイトのニュースにないか確認し、なければMLB情報に詳しいESPNやブリーチャーレポート、あるいはアメリカの地元紙(ヤンキースならニューヨークタイムス)などで同じ発表がなされているかどうかチェックします。米国マスコミでは、ここ数週間のイチローの契約に関する記事はあくまで「最終段階にある」というニュアンスで、正式発表されたと伝えた記事はありませんでした。

いやはや、日本のスポーツ紙が取材すらしていないことがよくわかります。スポーツ紙を信じた人からイチローに「契約が決まっておめでとう」のメールもあったようで、イチローもインタビューで「ようやく返事のメールを送れる」と言っていました。この発言にイチローの日本のスポーツマスコミへの皮肉を感じるとしたら性格が良くないでしょうか。

さて、イチローの契約が2年契約となったことに、メジャーのファンは少し驚いたかも知れません。ヤンキースはよほどの選手でなければ30代後半のベテランFA選手とは単年でしか契約しないからです。今年ヤンキースに来たばかりで、成績の数字は下降線をたどっている選手と2年の契約を結んだということは、球団はイチローを相当に高く評価しており、わずか3ヶ月の活躍でしたがファンの心をガッチリつかんだということではないでしょうか。

イチローの残留と天秤にかけられたのが、ヤンキースで同じ右翼を守るニック・スウィッシャー。今のところまだ来季の所属球団は決まっていませんが、イチローの残留で移籍が決定的になったとも言われています。このことについて米国のマスコミは、チームの勝利のためにはスウィッシャーを残すべきとしながら、ファンはややダーティーなプレーをするスウィッシャーよりも攻守で魅せてくれるイチローのほうを見たがっていることも認めています。

イチロー自身は、たとえ多少年俸が下がろうともヤンキースに残ることを望んだと言われており、その思いは次の言葉に表れています。

「勝つことへの強い思いは、勝負の世界に生きている者であれば、どのチームの人間であっても持っているものだが、ヤンキースには負けを許さない空気が存在している。これが共存している組織は実はなかなかないのではないか。そんなチームが必要としてくれているなら断る理由はない」

マリナーズは、イチローの1年目にメジャー史上最多勝(116勝)での優勝を果たしたものの、その後は下位に沈みっぱなし。フロントも選手もやる気を失ったかのような球団で、イチローは10年以上も黙々とプレーしてきました。とはいえ、WBCでは日本代表のリーダーとしてチームを牽引し(投手コーチは与田剛さんでした)、見事2回連続優勝を果たしています。ここ数年、200本安打の記録も途切れ、確かに数字は下降線かも知れません。しかし、常勝球団の緊張感の中で、イチローはもしかしたらもう一度メジャーを驚かせるような活躍を見せてくれるのでは?とワクワクしているファンは少なくないはずです。少なくとも今季ヤンキースに移籍してからのイチローは、メジャーデビューの年のような溌剌さにあふれていました。

ポストシーズンにめっぽう強くミスターオクトーバーと呼ばれたレジー・ジャクソンは、わずか4年のヤンキース在籍で背番号44が永久欠番になりました。イチローの31番もそれに続いてほしい・・・、というのは期待しすぎでしょうか。ともあれ、あと2年イチローのプレーが見られることが決まってファンとしては大満足。与田剛さんも喜んでいるのではないでしょうか。



2012年12月20日木曜日

アスレチックス入りが決まった中島と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、西武ライオンズからFA宣言し、このほどオークランド・アスレチックスに入団が決まった中島裕之選手。

とりあえず、つかみはOKという感じでしょうか。ビリー・ビーンGMが隣に座った記者会見の場で入団の理由を聞かれ「GMがカッコイイから」と答えて場内は大爆笑。「カッコイイ」を「sexy and cool」と訳した通訳のファインプレーもあったでしょうが、サンフランシスコ・クロニクルの名物女性記者スーザン・スラッサーさんも大いに好感を持ったよう。日本人選手が記者会見で大ウケした前例といえば、今季日本ハムで現役を続行した木田優夫投手を思い出します。デトロイト・タイガースの入団記者会見で、デトロイトの町の印象を聞かれ、たしか「ロボコップがいないのが残念」と答えたのでした。「記者会見で大ウケ」の先輩はメジャーでの活躍はイマイチでしたが、中島はどうでしょうか。

中島は昨年の今頃もメジャー入りで揺れ動いていました。ポスティング制度を利用してメジャー球団の入札を待ったところ、落札したのはニューヨーク・ヤンキース。ヤンキースといえば、正遊撃手はメジャーNo.1級のスターであるデレク・ジーター。最初から控え扱いを前提とした入札なので、ためらいもあったでしょう。結局西武残留を決めて今シーズンは西武でプレーし、オフに晴れてFA権を取得。遊撃手が手薄なアリゾナ・ダイヤモンドバックスとも接触が伝えられましたが、最終的にアスレチックスと契約しました。

アスレチックスといえば「買い物上手」で知られています。資金力に乏しいこともあり、たとえば今シーズン新人王に票が入ったヨエニス・セスペデス外野手など、確実に活躍できる選手を獲得する「目利き」はメジャー随一です。過去日本人でアスレチックスに所属したのは藪恵壱投手と松井秀喜外野手。二人ともベテランになってからの入団でしたが、まずまずの活躍をしています。その球団が中島を選んだのだから、それなりの見通しはある、と思いたいところです。今シーズン、もっとも多くアスレチックスのショートを守ったクリフ・ペニントンは打率.215、シーズン途中に獲得したスティーブン・ドリューは先日ボストン・レッドソックスに移籍してしまいましたので、チームも中島に開幕ショートを期待してることは間違いありません。

北京オリンピックと第2回WBCで活躍し(与田剛さんは投手コーチでした)、外国人相手にも通用することを証明している中島。ただ、これまでメジャーに渡った日本人内野手は、松井稼頭央、岩村明憲、西岡剛、川崎宗則と、いずれも満足な結果を残せていません。国内でも失策の多さが不安視された中島だけに、正直、楽観的な予想は難しいところです。一つ明るい材料があるとすれば、その明るい性格と、これまでも西武に来た外人選手の故郷にオフに一人で遊びにいくという海外適応力。とりあえずは、与田剛さん解説の試合中継で雄姿を見られるよう、活躍を期待しましょう。



2012年12月17日月曜日

ブロックバスター連発のMLBと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今オフ次々に決まっているブロックバスター(大型トレード)の話題。

ブロックバスターという言葉にとくに定義はないと思われますが、合計6~7人以上の選手が動くトレードに使われているようです。言葉そのものの意味は、町の区画(ブロック)ごと吹っ飛ばしてしまうような大規模な爆撃だそうで、野球チームならまさに戦力がガラッと変わってしまうくらいの選手の大移動ということになります(与田剛さんも中日、日ハム、阪神と移籍しました)。

ブロックバスターで動く選手の構成は、レギュラー級の「大物」が1~2名と、まだメジャー経験の浅い、もしくはマイナーで育成中の「これからの選手」数名から成ることが多いと言えます。「大物」を出して若手を獲るチームは数年先の優勝を目指して選手を育てていくのに対し、「これからの選手」を出して「大物」を獲るチームは来シーズンに勝負を賭けようというわけです。その意味では両チームの「今」と「将来」の交換と言っても良いかも知れません。

今オフ、まずファンを驚かせたのはマイアミ・マーリンズの大解体でした。昨オフ、大枚をはたいて大物を多数獲得したもののナショナルリーグ東地区最下位に終わったマーリンズ。これに怒ったオーナーが、レギュラー級の選手をほぼ全員放出してしまったのです。主力がもっとも多く移動した先がトロント・ブルージェイズで、エースのジョシュ・ジョンソン、先発二番手とはいえ他チームならエース級のマーク・バーリー、さらにホセ・レイエス遊撃手、ジョン・バック捕手が移籍。マーリンズファンは「やる気があるのか」と激怒し、ブルージェイズファンは「来年は優勝だ!」と狂喜しました。大物を出したマーリンズが交換で獲得した選手は今一つ中途半端な若手ばかりで、あまりのビジョンのなさに、その点でもファンから非難されています。

これにカンザスシティ・ロイヤルズとタンパベイ・レイズが続きます。と言ってもこちらはレイズの先発ジェームズ・シールズ投手プラス中継ぎのウェイド・デイビス投手と、ロイヤルズが手塩にかけて育ててきたプロスペクト4名の交換。マーリンズのようなやけっぱちなトレードではなく、来季に勝負を賭けるロイヤルズと「勝ちながら若手を育てる」に定評のあるレイズのWIN-WINトレードと言って良いでしょう。

そして先週は日本では例がない「三角トレード」が決まりました。三角トレードとはその名の通り、3つのチームの間で選手のやりとりを同時に行うもの。今回はシンシナティ・レッズ、クリーブランド・インディアンス、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの間で合計9選手が移動しました。「大物」としてはインディアンスからレッズへ移籍する秋守信外野手、インディアンスがレッズから獲得するドリュー・スタッブス外野手でしょうか。ダイヤモンドバックスは昨年のドラフト1位トレバー・バウアー投手をさっそく放出して、レッズから「将来のゴールドグラブ候補」と言われるディディ・グレゴリウス内野手を獲得しました。こちらは大人数が動きましたが、戦力の移動としてはちょっと小粒かも知れません。

普通オフにブロックバスターは一つか二つなのですが、今オフはすでに三つ、そしてさらにもう一つが近々決まりそうという噂もあります。なんとニューヨーク・メッツが今季20勝してサイ・ヤング賞に輝いたR.A.ディッキー投手をブルージェイズに放出し、見返りに若手数名を獲得しようとしているらしいのです。ディッキーは今年突然勝ちまくりましたが、これまではメジャーで二けた勝利がやっとだった投手。今年の好調が一年だけの狂い咲きという可能性もありますし、またナックルボーラーとはいえ来年39歳の高齢の投手を獲得するというのは、かなりのギャンブルではあります。米国の報道ではほぼ決定的なようですが、どうなるでしょう。

間違いなく言えるのは、ブルージェイズは来季の優勝をかなり本気で狙っているということ。強豪ヤンキース、今シーズン旋風を巻き起こしたオリオールズ、投手が充実しているレイズ、着実に巻き返しを狙っているレッドソックスに加え、大補強のブルージェイズ。来シーズンもアメリカンリーグ東地区が一番熱い地区になる予感がします。与田剛さんの解説でメジャーリーグを楽しみましょう。



2012年12月15日土曜日

波乱万丈人生のジョシュ・ハミルトンと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、テキサス・レンジャースからFAとなり、先日ロサンゼルス・エンゼルスとの契約合意が報道されたジョシュ・ハミルトン外野手。

ようやく決まりました。今オフのFAの最大の目玉と言われたハミルトンですが、最終的にエンゼルスと契約する模様です。5年総額1億2500万ドル、一年あたりの平均年俸は2500万ドルで、野手ではニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスに次ぐ史上二位。昨年はMVP3回のアルバート・プホルスを獲得したエンゼルスが、今度は同じアメリカンリーグ西地区のレンジャースから2010年のMVPを引き抜くことに成功しました。このオフはそれほど動いていないエンゼルスですが、来シーズン、新人王マイク・トラウトにプホルス、ハミルトンが並ぶ上位打線はア・リーグ最強と言って良いかも知れません。

ハミルトンはプロ入り前からメジャー球団のスカウトに史上最高レベルの評価を受けていました。非凡な打撃・守備に加え、投手としても154km/hの速球を投げるなど(与田剛さんは157km/hを投げたことがあります)、野手としての5ツールに投手の能力も加えた8ツールプレイヤーと賞賛され、全米最優秀高校生選手に輝きます。1999年のドラフトでは当然のように全米1位指名を受けてタンパベイ・デビルレイズに入団。マイナーで前評判通りの能力を見せ、USAトゥデイの2000年度マイナーリーグ年間最優秀選手賞も受賞しました。

順風満帆に見えたハミルトンの野球人生は、しかしメジャー昇格を目の前にして狂い始めます。2001年のシーズン前に家族と自動車に乗っていて交通事故にあい、怪我の治療中に不安とストレスからアルコールとコカインの依存症に陥ってしまったのです。これに対しコミッショナーから25日間の出場禁止処分が下され、更生施設への入所を義務付けられます。しかし改善は見られず、2004年には二度目の出場停止処分を受け、メジャーで打席に立つことなく事実上の球界追放となってしまいました。

その後、自殺未遂を起こすなど心身ともにボロボロになり、3年近く野球から離れていたハミルトンでしたが、家族や恩師のサポートを得て依存症の克服と野球への復帰をかけたトレーニングを開始。努力の甲斐あって2006年に週3回以上の尿検査を条件に復帰が認められ、マイナーリーグの試合に出場。オフにルール5ドラフトでシンシナティ・レッズに指名され、翌年、全米1位指名から8年かけてようやくメジャーデビューを果たします。そしてテキサス・レンジャースに移籍し、ここでようやく一流打者としての真価を発揮し始めたのでした。

レンジャース移籍後、初のフルシーズンとなった2008年にいきなり打点王、2010年は首位打者を獲得しMVPにも選出、ヤンキースとのリーグ優勝シリーズでは4本塁打を放つなどの大活躍でシリーズMVPも受賞。レンジャースもリーグ優勝し、チームメイトは飲酒を禁止されているハミルトンのためにクラブハウスで「炭酸飲料かけ」をしたのでした。今シーズンは一試合4本塁打を記録するなど前半戦は絶好調ながら、後半に失速して(カフェインの過剰摂取からくる体調不良が原因と言われています)無冠に終わった上、最終戦で外野フライを落球し、これがアスレチックスの逆転優勝につながるなど、後味の悪い閉幕となってしまいました。

まだ31歳にもかかわらず、まさに波乱万丈のハミルトンの人生は映画化されるという噂があります。しかし、今シーズン始めには禁酒を破っていたことがばれて釈明会見を開くなど、まだ完全な更生には至っていないようです。メジャー屈指の天才的なツールを持ちながら、うまくいきそうになると必ず暗い影がさすのは精神的な弱さからでしょうか。新天地での活躍を与田剛さんの解説で見守りたいと思います。



2012年12月13日木曜日

楽天入りが決まったA.ジョーンズと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、楽天ゴールデンイーグルスに入団が決まったアンドリュー・ジョーンズ外野手の話題。

スポーツサイトを見て驚きました。なんと、あのアンドリュー・ジョーンズが日本のプロ野球にやってくるとは。通算安打数1933本、本塁打434本。90年代後半から2000年代前半にかけての黄金期のアトランタ・ブレーブスで中軸を打ち、ホームラン王、打点王1回、そして10年連続ゴールドグラブ賞に輝いた外野守備の名手。いくつもの輝かしい実績は、これまでに来日したメジャーリーガーの中で、間違いなくトップクラスと言えるでしょう。

ジョーンズの出身地は、東京ヤクルト・スワローズのウラディミール・バレンティン外野手と同じ、カリブ海に浮かぶキュラソー島。オランダ領なので、オランダ代表として2006年の第一回WBCに出場、来年の第三回も出場予定(与田剛さんは日本代表の投手コーチです)だそうです。

ジョーンズは16歳でアトランタ・ブレーブスと契約。19歳でメジャーデビューすると、その年のワールドシリーズにも出場して第一戦でホームランを記録。ミッキー・マントルのワールドシリーズ史上最年少本塁打記録を更新しました(さらに次の打席でもホームランを放ち、ワールドシリーズでの初打席から二打席連続本塁打は史上2人目)。

ジョーンズの黄金時代は、ブレーブスが最強を誇った時期とほぼ一致します。21歳のシーズンに史上最年少で20本塁打・20盗塁を達成、守備では補殺数が毎年二桁、1998年には20補殺という驚異的な数字を残しました。センターの守備範囲の広さと肩の強さは素晴らしく、盗塁も多かったので5ツールプレイヤーの名を欲しいままにします。もっとも好調だったのは2005年、51本塁打、128打点を記録し、二冠王に輝きました。このときジョーンズは28歳、この先どんな凄い選手になるのかとファンを興奮させましたが、この年をピークに成績は下降を始めます。

2007年限りでFAとなってブレーブスを離れると、その後100試合以上出場したのは1シーズンだけ、それからは毎年異なるチームを渡り歩く落ち着かない選手となってしまいます。体調管理が不得意で、オーバーウェイトによって守備の動きが悪くなるとともに盗塁もなくなりました。まだ30代半ばというのに、残っているのは長打力だけ、とりあえずシーズン10~15本はホームランを打てる四番目の外野手というのがここ数年のジョーンズの評価です。

常時試合に出場できないことは、おそらく本人にとっても大きなフラストレーションだったのでしょう。楽天入団が決定したときのコメントにも、出場機会が得られたことがうれしいという言葉がありました。楽天との契約は1年で年俸は3億円。この実績の選手とこの値段で契約できるとすれば超お買い得ですが、さて日本でどのくらいの活躍をしてくれるでしょうか。昨年はメジャー100勝のブラッド・ペニー投手がたった1試合に投げただけで退団。これまでもマイク・グリーンウェル、ケビン・ミッチェルといった「バリバリ現役のメジャーリーガー」が活躍どころか数試合で帰国してしまう例があっただけに、楽観的な見方をする人はいないでしょう。

ジョーンズの獲得は、今月のウインターミーティングに楽天の立花社長が自ら乗り込んでまとめたのだとか。代理人は悪名高いスコット・ボラスですが、まさか「売りつけられた」のではないでしょうね・・・。日本でのジョーンズに期待するとしたら、桁違いのパワー。おそらくDHでしょうが、打率は少々低くとも腰を抜かすようなホームランを10本でも見せてくれれば、とりあえずMLBファンとしては満足です。WBCで対戦したら、与田剛コーチは日本の投手にどのように攻めさせるでしょうか。



2012年12月12日水曜日

レイズとロイヤルズの大型トレードと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、タンパベイ・レイズとカンザスシティ・ロイヤルズの間で成立した大型トレードのニュース。

いわゆるブロックバスターと呼んでもいいかも知れません。レイズ側は今季チーム2番目の15勝をあげた先発のジェームズ・シールズと、中継ぎで54試合に登板し48ホールド、防御率2.43と堅実な活躍をしたウェイド・デイビスの投手2人(+後日発表選手または金銭)、ロイヤルズ側は球団組織のNo.1プロスペクト(有望株)、2年連続フューチャーズゲームに選出されたウィル・マイヤーズ外野手をはじめとする合計4人のマイナー選手がチームを移動します。

レイズは充実している投手陣から2人を出してチームに不足している打撃力を補おうという構想でしょう。とはいえ、獲得するのはいかに有望株といえどまだメジャー経験のない選手ばかりですから、ある程度辛抱しつつ、長期にわたってチームの柱に育てるような使い方をするのではないでしょうか。このような将来を見据えた選手獲得を見ると、どうしても、無計画に選手をかき集めては売り飛ばす「もうひとつのフロリダ州のチーム」、マイアミ・マーリンズと比較してしまいます。しかし、レイズの本拠地はお客が入らない球場として有名なんですよね。

対するロイヤルズはすでに先発投手のジェレミー・ガスリーと契約更新、さらに実績あるアービン・サンタナ投手も獲得しており、フロントの来シーズンにかける意気込みには並々ならぬものを感じます。スモールマーケットゆえに財力が弱く長期間下位に甘んじてきましたが、ホズマー、ムスタカス、ゴードン、バトラーら実力ある若手野手が育ってきたのを見て、久しぶりに勝負をかける気になったのでしょう。こちらはレイズと違って時間に余裕がありません。シールズは3年後にはFAになり、おそらく年俸も高騰しロイヤルズでは引き留められません。したがって2年の間に結果を出す、覚悟の上でのシールズ獲得でしょう。デイビスは中継ぎか、調子次第ではクローザーの可能性もあります(与田剛さんは中日のクローザーでした)。

せっかく育てた有望株を一気に4人放出したロイヤルズのやり方に批判的な人もいるようですが、投手の整備を自前でやろうとすればまだまだ時間がかかり、そのときには現在主力の若手野手がFAになってチームを離れてしまいます。つまり、レイズとロイヤルズは「将来」と「今」を交換したということになるでしょうか。いずれにしても、両チームとも余剰戦力を出して不足分を補うという、教科書のようなトレードが成立したと言えるでしょう。

このトレード、どちらのチームに吉と出るかは来シーズンが終わるまで分かりません。与田剛さんと一緒に注目しましょう。




2012年12月8日土曜日

ルール5ドラフトと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ウインターミーティングの最終日に行われる「ルール5ドラフト」。

何事も合理的なMLBのシステムですが、ルール5ドラフトもまたそのひとつ。「ドラフト」ですから球団が欲しい選手を指名する会議なのですが(与田剛さんは中日にドラフト1位指名されましたね)、ここで指名される対象は、すでにMLB球団組織に属していながらまだ芽が出ないマイナーリーガー。各チームが他チーム傘下のマイナー選手を指名して獲得できるのです。

とにかくMLBは傘下組織まで含めれば何千人という選手がいるわけで、その中には実力があるもののチーム事情により出番が与えられず「飼い殺し」になる選手もいます。そういった埋もれた有望選手を発掘するためのシステムがこのルール5ドラフトです。

この会議に参加できるのはメジャー登録の40人枠に空きがあるチームのみ。その年のレギュラーシーズンの勝率の低いチームから指名権が与えられ、アメリカン、ナショナルのどちらが先になるかは毎年入れ替わります。指名対象になるのは18歳以上で入団した在籍5年以下の選手と、19歳以上で入団した在籍4年以下の選手。ただし、むやみな引き抜きを規制するために、AAAから指名した場合は相手チームに5万ドルを支払い、指名した選手は翌シーズン全期間メジャーの25人ロースターに登録しなければならないというルールがあります。もし25人ロースターから外す場合は速やかに元のチームへ選手を返還し、選手を返還されたチームは25,000ドルを払い戻さなければなりません(AAから指名する場合にも相応の規制があります)。

各チームの「目利き力」が試されるこのドラフトですが、過去にルール5ドラフトでチャンスを得てブレイクした選手は少なくありません。たとえば今年のナ・リーグのサイ・ヤング賞投手R.A.ディッキー、今オフのFAの目玉ジョシュ・ハミルトン外野手、ブルージェイズの主砲ホゼ・バティスタ外野手、レンジャースに移籍が決まった元ロイヤルズのクローザー・ホアキム・ソリア投手らは、このドラフトで見出されました。今年のルール5ドラフトの「全体1位」はヒューストン・アストロズが指名したボストン・レッドソックスのマイナー右腕ジョシュ・フィールズ投手。来季はアメリカンリーグに移動するアストロズで活躍を見せてくれるかどうか、楽しみですね。

日本のプロ野球にはこのようなシステムはありませんが、実は韓国では昨年から導入されているとのこと。機会に恵まれない若手の救済、リーグ活性化のために、ぜひ日本でも実施してほしいものです。与田剛さんはどのような考えをお持ちでしょうか。



2012年12月7日金曜日

ウインターミーティングと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、MLB各チームの首脳陣が一同に会するウインターミーティングの話題。

メジャーリーグは冬も休みません。ワールドシリーズの閉幕とともに、各チームは来シーズンに向けて戦力を着々と整えています。その様子は、自チームの余剰戦力と他チームの手薄な部分を照らし合わせて手駒を交換する、まるでカードゲームかパズルを組み立てるかのよう。しかし、メジャー球団は全米とカナダに30チームあるわけで、個別に話をもちかけていたのでは効率がよくありません。というわけで、オフのこの時期に開催されるのがウインターミーティングです。12月3日から6日の間、全MLB球団のゼネラルマネージャー、それにFA選手の代理人たちがテネシー州ナッシュビルのホテルに全員集合し、契約やトレードの話を一気にまとめてしまおうという、いわば4日間の「大商談会」です。

初日から各チームとも活発に動いており、すでに次の選手の新たなチームが決まっています。

・ネイト・シャーホルツ外野手がシカゴ・カブスへ
・ジェイソン・ベイ外野手がシアトル・マリナーズへ
・エリック・チャベス三塁手がアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ
・ネイト・マクラウス外野手がボルチモア・オリオールズへ
・マイアミ・マーリンズのユネル・エスコバー内野手と、コロラド・ロッキーズの
 ウィルソン・ロペス投手の交換トレードが成立
・シェーン・ビクトリーノ外野手がボストン・レッドソックスへ
・ダン・ヘイレン投手がワシントン・ナショナルズへ
・ジェームズ・ローニー外野手がタンパベイ・レイズへ
・マイク・ナポリ捕手がボストン・レッドソックスへ
・ホアキム・ソリア投手がテキサス・レンジャースへ
・ミネソタ・ツインズのベン・リベア外野手と、フィラデルフィア・フィリーズの
 バンス・ウォーリー投手、トレバー・メイ投手の交換トレードが成立
・上原浩司投手がボストン・レッドソックスへ
・リード・ジョンソン外野手がアトランタ・ブレーブスへ

このオフのFAの目玉はサイ・ヤング賞投手ザック・グレインキー、昨年のMVPジョシュ・ハミルトン、そしてジャスティン・アップトンといったところです。もちろん「お値段」も超一級ですが、これら3人の選手は優勝を目指すチームならノドから手が出るほどほしいところ。この3人をめぐる争奪戦がおそらくウインターミーティング会場では巻き起こっているはずです。

ハミルトンにはレッドソックスが接触しているとの噂。ナショナルズはダン・ヘイレンを獲得したことでグレインキー争奪レースから撤退。こうなると有力候補は潤沢な資金があるドジャースですが、昨年トレードで野手をオールスター級にしたうえに、グレインキーまで取るのかというやっかみもちらほら。

レンジャースに残留すると思われた上原投手はレッドソックス移籍が決まったようです。ヤンキースはケビン・ユーキリスに声をかけているものの、インディアンスのほうが好条件を提示しているという情報も・・・。

ところで、マーリンズの「ファイアーセール」トレードでブルージェイズからやってきたエスコバー内野手が、まだ一度もマーリンズのユニフォームを着ていないのにロッキーズにトレードされてしまいました。来シーズンのマーリンズは一体どうなるのでしょう?

与田剛さんも中日から阪神、日ハムへと移籍しましたが、移籍が選手を大化けさせることもあります。ウインターミーティングが終わると選手の大移動も一段落、来シーズンの活躍を期して、選手たちもゆっくりとクリスマスを迎えることでしょう。



2012年12月4日火曜日

第3回WBC日本代表メンバーの発表と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、来年行われる第3回WBCの日本代表候補選手が発表されたニュース。

さあ、いよいよWBC日本代表候補の発表です!まずは34選手をご紹介。

<投手>

沢村 拓一(巨人) 内海 哲也(巨人) 杉内 俊哉(巨人) 山口 鉄也(巨人) 
吉見 一起(中日) 浅尾 拓也(中日) 山井 大介(中日) 前田 健太(広島) 
今村  猛(広島) 能見 篤史(阪神) 涌井 秀章(西武) 牧田 和久(西武)
摂津  正(ソフトバンク) 大隣 憲司(ソフトバンク) 
森福 允彦(ソフトバンク) 田中 将大(楽天)

<捕手>

阿部慎之助(巨人) 相川 亮二(ヤクルト) 炭谷銀仁朗(西武)

<内野手>

坂本 勇人(巨人) 村田 修一(巨人) 井端 弘和(中日)
鳥谷  敬(阪神) 稲葉 篤紀(日本ハム) 松田 宣浩(ソフトバンク)
本多 雄一(ソフトバンク) 松井稼頭央(楽天)

<外野手>

長野 久義(巨人) 大島 洋平(中日) 糸井 嘉男(日本ハム)
中田  翔(日本ハム) 内川 聖一(ソフトバンク)
聖沢  諒(楽天) 角中 勝也(ロッテ)

事前に明らかになっていたように、メジャー組は全員出場辞退。国内チームの選手のみでの構成となりました。投手陣は予想通り「日本一」巨人軍のスタッフが中心です。エース格は杉内、前田、田中でしょうか。この豪華スタッフを投手コーチの与田剛さんがどのように指導するのか楽しみです。キューバとの強化試合で好投した大隣も入りましたね。

捕手はキャプテンの指名を受けた阿部に、ベテラン相川と若手の炭谷。阿部の故障が心配されるだけに、バックアップ捕手も出番が多くなりそうです。

内野は坂本、鳥谷が初選出。実績十分の井端もいます。ちなみに投手の田中と坂本は小・中学校の同級生。そして今回のサプライズともいえる松井稼頭央。前回のWBC時はヒューストン・アストロズに在籍していたため参加しなかった松井ですが、今回は「世界」を知るベテランとしてベンチのリーダー役を期待されていると思われます。

外野で期待はもちろん中田。低打率が玉にキズですが、思わぬところで一発が出るのも中田の魅力。チームメイトでこちらも初選出の糸井とともに、フレッシュなプレーを見せてほしいものです。アメリカでも、デイビッド・ライトらMLBチームに在籍する選手のWBC参加確約が届いているとのこと。与田剛コーチも情報収集に余念がないのではないでしょうか。来年が待ち遠しいですね。



2012年12月2日日曜日

新たな殿堂入り候補者の発表と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、来年度に新たにメジャーリーグの殿堂入り候補者に加わるメンバーが発表されたニュース。

「殿堂」はメジャーリーグの功労者を表彰するもので、いわばメジャーリーグの歴史の一部に正式に名を残すもの。もちろん選手が試合に出場するだけでも公式記録には残りますが、殿堂入りは超一流選手として別格扱いするものですから、その名誉や注目度は何千人もの「元メジャーリーガー」と別次元であり、何百万ドルの年俸をもらっていてもお金では買えない、すべての選手の憧れと言っても良いでしょう(選手以外に監督、審判員、GMなども殿堂入りの対象ではあります)。

殿堂入りの選考は非常に厳しいものです。そのルールは少々複雑ですので、以下にWikipediaから引用してご紹介します。

「殿堂入り選考の対象となるのは、メジャーリーグで10年以上プレーした選手のうち、引退後5年以上が経過した選手。選考対象となった選手は全米野球担当記者協会(BBWAA)の適性審査委員会で殿堂入り候補者とするか否かが議論される。候補者として認められると、殿堂入りの可否を問う投票にかけられる。BBWAAに10年以上所属している記者に投票資格が与えられ、通常25~40人の候補者のうち最大10人までの名前を書いて投票する。得票率75パーセント以上の候補者が殿堂入りとなる。得票率5パーセント以下の候補者はその回限りで候補から外され、次回以降の審査・選考にかけられることはない。」

なぜかWikipediaには記載されていないのですが、選考対象になるのは期限があります。15年を経て殿堂入りに十分な票を集められなければ、対象者資格は失効。たとえばシンシナティ・レッズの名ショートストップ・デイブ・コンセプシオンや、強打と強肩でならしたピッツバーグ・パイレーツのデイブ・パーカーらは15年間毎年投票対象になりながら、結局消えていきました。いっぽうで連続試合出場の記録を作ったカル・リプケン・ジュニアや、首位打者8回、通算打率.338のトニー・グウィンは1年目であっさり殿堂入りを果たしています。

さて、先日2013年度に初めて選出資格を得る候補者が発表されました。3000本安打を達成したクレイグ・ビジオ二塁手、シーズン73本塁打、通算762本塁打のメジャー記録を持つバリー・ボンズ外野手、通算354勝のロジャー・クレメンス、多数の捕手の打撃記録を塗り替えたマイク・ピアザ捕手、2001年ワールドシリーズの激投が記憶に新しいカート・シリング投手、1998年マーク・マグワイアとのホームラン競争に敗れたもののシーズン60本塁打以上をただ一人3回達成しているサミー・ソーサ外野手、以上6名です。

このメンバーについてはいろいろと物議を醸しています。ボンズ、クレメンス、ソーサの3人は違反とされる薬物の使用が明らかになっていることです。ソーサは違反バットの使用が発覚したこともありました。3人とも1年目で文句なしの選出が予想される実績の持ち主ですが、現在メジャーリーグで大きく問題視されている薬物問題で「クロ」とされている事実がどのように投票に反映されるか、注目されています。ひと足先に選考対象になったマグワイアもまた薬物疑惑の人物で、実績は十分ながらすでに5年「落選」を続けていることからも、投票者の見る目は非常に厳しいようです。与田剛さんならクレメンスに投票するでしょうか?



2012年11月28日水曜日

2022年まで契約延長したロンゴリアと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、タンパベイ・レイズのエバン・ロンゴリア三塁手が球団と2022年までの契約延長に合意した話題。

ロンゴリアは2008年に新人王を満票で獲得(与田剛さんは1990年のセ・リーグ新人王)、前年サードを守っていた岩村明憲選手が彼にポジションを空けるためにセカンドにコンバートされましたね。ロンゴリアは期待通りの活躍を見せ、ルーキーイヤーから3年連続でオールスターに選出、アレックス・ロドリゲスに代わるアメリカンリーグの代表的な三塁手に順調に成長します。5年間で新人王以外の個人タイトルは獲っていませんが、ここぞというところで試合を決めるのが彼のスターたるゆえん。2011年最終戦での、レイズのワイルドカード進出を決めるサヨナラ本塁打は長くファンの記憶に残る一打です。

今シーズンはスライディング時の故障で長期にわたって故障者リスト入り。わずか74試合しか出場できませんでしたが、なんと先日、球団との間で2022年までの契約延長に合意したことが発表されました。現在の契約も2016年までありますので、6年の延長。そのあと1年は球団が権利をもつオプションとのこと。年俸は17年以降1600万ドル(約12億円)、日本人の感覚からすれば巨額の契約ですが、昨今のメジャーの感覚からすれば「まずまず」のスケール。むしろロンゴリアが大きな故障なく現在のペースで活躍できれば、バーゲン価格だという評論家もいるほどです。

このような長期契約は現在のメジャーリーグではそれほど多くありません。長くても5~6年程度で、FA取得時にたいていの選手が他のチームに移籍します。今回の契約でレイズはロンゴリアにずっとチームの中心選手として扱いたいという誠意を示したと言えるでしょう。しかも今年、彼はシーズンの半分を棒に振る故障をしたわけで、普通なら球団は長期契約に不安を持つもの。その年に契約延長を保証してもらえたわけですから、ロンゴリアも感激したのではないでしょうか。そのキャリアのすべてを一球団で終える選手のことをフランチャイズプレーヤーと言いますが、ロンゴリアもその道が拓けたというわけです。

他にフランチャイズプレーヤーといえば、ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター遊撃手、マリアーノ・リベラ投手、今年引退したアトランタ・ブレーブスのチッパー・ジョーンズ三塁手が思い浮かびます。ジーターもリベラも残されたキャリアはそれほど長くないだけに、彼らが最後のフランチャイズプレーヤーではないかとも言われましたが、ロンゴリアが続きそうですね。

ところで、このオフは最下位に沈んだマイアミ・マーリンズがレギュラークラスの選手をほぼすべて放出したことが話題になりましたが、トロント・ブルージェイズに放出されたマーク・バーリー投手が「(マーリンズに)契約時に長い付き合いになると言われたのに騙された」と憤慨しているというニュースがありました。90年代の球団数拡張(エクスパンション)で誕生した同じフロリダ州のレイズがこのように選手との信頼関係を見せたいっぽうで、マーリンズはいまだに選手を集めては解体しての繰り返し。明暗がくっきり分かれたようですが、与田剛さんならどのように解説されるでしょうか。




2012年11月25日日曜日

キューバとの強化試合に連勝したWBC日本代表と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、先ごろ行われたキューバとのWBCをにらんだ強化試合に日本代表チームが連勝した話題。

イチロー、ダルビッシュ、黒田、青木、岩隈ら日本人メジャーリーガーが全員辞退の今回のWBC。実績ある中島、藤川もメジャー挑戦があるだけにおそらく出場は無理。若手中心のオーダーでアマチュア最強のキューバ相手に一体どんな戦いぶりになるのか、期待と不安半々で迎えた強化試合でしたが、フタを開けてみれば日本の2連勝。キューバもベストメンバーではなかったようでしたが、なんだかんだ言って勝ちは勝ち、気持ちのいいものです。2試合でキューバに1点しか取らせなかったことから、投手コーチの与田剛さんも胸をなでおろしているのではないでしょうか。

2試合とも7人の投手を登板させるなどテスト的な色合いが強く見られましたが、2試合目の先発、巨人の沢村投手は2イニングスを投げて4三振と好調をアピール。与田コーチも「ストレートを狙われて打たれた時に変化球でどう対応できるかを見たかった。そういった意味では(初回グリエルに)3球スライダーを続けて三振に仕留めるとかきっちりできていた」と評価。また、2試合とも最後の締めくくりに登板したのは横浜の山口俊投手。両方の試合でセーブをあげて期待に応えました。この山口ともう一人、西武の涌井投手がクローザー候補になりそうです。

今回のWBCの日本チームは「世代交代」が大きな課題。その中でも気になるのは、これまで強力にチームを引っ張ったイチローに代わるリーダーを誰が担うか。城島も引退したので巨人の阿部が候補ですが、イチローのカリスマ性にくらべれば(仕方ないとはいえ)少々見劣りがしますし、故障があることからフル出場にも不安があります。阿部がフィールドにいないとなると、他のメンバーの顔触れを想像すると今ひとつおとなしい印象がぬぐえません。今年のワールドシリーズで、試合前に円陣を組み、鬼の形相でメンバーに気合を入れていたサンフランシスコ・ジャイアンツのハンター・ペンスは、実はまだ28歳。若くてもリーダーシップのある選手がいればチームを引っ張ってほしいものですが、日本人ではちょっと難しいかも知れませんね。やはりチームの精神的支柱はベテラン選手でしょうか。メジャー経験のある松井稼頭央なんてどうでしょう?

前回大会では打線になかなか火がつかなかった記憶があります。おそらく今回も打力の面では苦労しそうな予感がありますので、勝つとしても僅差の試合が多くなるでしょう。よって、投手陣にはぜひとも辛抱強いピッチングをお願いしたいところ。与田剛コーチの投手指導に期待です。




2012年11月23日金曜日

WBCブラジル代表の本大会出場と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、来年3月のWBC本大会にブラジルが出場を決めたニュース。

WBCといえば日本代表チームの投手コーチは与田剛さんですが、すでに予選が始まっている南米では、ブラジルがパナマを破る大金星をあげ、本大会の出場を決めました。このブラジル代表チームには日本のメジャーリーグファンが注目すべき点が二つあります。まず監督が元シンシナティ・レッズの名ショートストップで殿堂入りも果たしたバリー・ラーキンであること。そして選手には日本球界経験者が多数在籍していることです。

ラーキン監督は今年初めにブラジルで野球教室を行った縁で代表監督に就任。「場所がどこで、相手が誰だろうと関係ない。プランと精神力をもって、小さなことを確実にこなせば勝てる」と国際舞台で実績のない初出場チームを指導し、格上を次々と撃破しました。

ブラジルチームのオーダーを見ると、なんだか見覚えのある選手名が。五番ファーストのダニエル・マツモトは東京ヤクルトスワローズの「松元ユウイチ」。四番で打率.364を記録したDHレイナルド・サトウは元ヤクルトの「佐藤ツギオ」で、現在は社会人野球のヤマハに所属しています。この二人は現在は日本に帰化していますが、もともとブラジル生まれの日系人。そう、WBCは野球後進国への配慮として、両親のいずれかがその国の出身であれば本人は他国の国籍でも出場できるのです。

ヤクルトはブラジルに野球アカデミーを作って野球選手の育成に努めており、才能のあるブラジル人は日本でもプレーしています。パナマ戦で勝ち投手となったラファエル・フェルナンデスもその一人。ヤクルトで昨年育成選手から支配下登録され日本通算10試合で1勝0敗、防御率は8.31でしたが、母国では立派なエースです。ヤクルト関係以外では、六番のファン・ムニス外野手は元千葉ロッテ・マリーンズ。捕手のヤン・ゴメスは現在クリーブランド・インディアンスに所属するブラジル人初のメジャーリーガーですが、メンバー28人中12人が日本球界経験者ということですから、こうなるとなんだか「第二の日本代表」のような気すらしてきます。

対戦したパナマはニューヨーク・メッツの新鋭ショートストップ・ルーベン・テハダ、フィラデルフィア・フィリーズのオールスター捕手カルロス・ルイス、マイアミ・マーリンズの通算358本塁打カルロス・リーというメジャーリーガー中心の布陣(ちなみに始球式はメジャー歴代セーブ王マリアーノ・リベラ)。このパナマを下しての本大会出場ですから、たとえ一軍出場の乏しい育成選手であっても、日本野球は世界的にレベルが高いことが証明されたように見えますね。

本大会出場を決めた後、ゴメス捕手は次のようにコメントしています。「これほどまでに試合に飢えていて、一生懸命プレーする連中を見たことがない。俺たちは全然びびってなんかいないし、とにかくブラジル人のプライドを見せたかった。ブラジルはサッカーで有名だけど、そっちにそれだけ才能のある選手がいて野球にいないわけないだろう」。

イチロー、黒田、青木らの現役メジャーリーガーが不参加を表明した日本代表チームですが、もしブラジルとの対戦が実現したら、どのような戦いになるでしょうか。与田剛コーチの投手指導も注目です。




2012年11月22日木曜日

アリゾナ・フォールリーグと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ワールドシリーズが閉幕した後もまだまだ熱いベースボールが展開されているアリゾナ・フォールリーグについて。

日本では日本シリーズが終わると次の春まで野球はお休み。3月にセンバツ高校野球があるとはいえ、プロ野球はしばらくおあずけ状態になってしまいます。もちろんその間はストーブリーグで翌シーズンの予想を楽しむわけですが、できれば本物のプロ野球も見たいもの。

その点、国土の広いアメリカは秋でも暖かく野球ができる場所があります。ところは砂漠もあるアリゾナの地、ここで近い将来のメジャー昇格を夢見るマイナーリーガーたちによるアリゾナ・フォールリーグ、略称AFLが開催されているのです。

30のメジャー球団組織から派遣された選手は6チームに編成され、リーグ戦が行われます。各チームは「フェニックス・デザートドッグス」「スコッツデール・スコーピオンズ」のような名前を持っているものの、ユニフォームは全員「親チーム」のものを着用、帽子だけがチームのお揃いということで、なんだかオールスター戦を見ているかのよう。とはいえリーグ戦は優勝を賭けて真剣勝負で争われ、MVPなどの個人表彰や「殿堂」もあるのですから本格的です。

このAFLの意義は、オフでもファンにプロベースボールを楽しんでもらおうというのはもちろんですが、メインの目的は若手選手にアピールの場を与えることです。日本と違い、傘下に多数のマイナーチームを持つMLBですから、マイナーリーガーも何百人と抱えています。それだけに、全く知られていないダイヤモンドの原石も数多く隠れているのです。そういった選手を発掘するための見本市が、このAFLと言って良いでしょう。

当然各チームのスカウトはAFLに結集、自軍の選手の成長ぶりをチェックするとともに、他チームの選手の偵察にも余念がありません。なぜなら、シーズン中に自軍が大物選手をトレードで放出する場合、交換相手は有望なマイナーリーガー複数名ということがあるからです。ちなみに、ドミニカやベネズエラなどラテンアメリカ系の選手は自国に戻ってウインターリーグに参加していますので、AFLに来るのは大半がアメリカ人選手です。

メジャーのスター選手の中にもAFL経験者は少なくありません。ヤンキースのキャプテン、デレク・ジーター遊撃手、ナ・リーグ新人王を獲り野茂の女房役で人気があったマイク・ピアザ捕手、アスレチックスやヤンキースで活躍した強打のジェイソン・ジオンビ一塁手、3度ナ・リーグMVPに輝いたアルバート・プホルス一塁手、200勝間近のロイ・ハラデイ投手、そして今年ナ・リーグ新人王を獲得したブライス・ハーパー外野手など。日本人では、今年引退を表明した田口壮外野手も参加したことがあります。面白いところでは、バスケットボールのスーパースター、マイケル・ジョーダンが一時メジャーリーガーを目指したときもAFLに参加しましたが、もしかしたら一番AFLが注目されたのはこのときかも知れません(笑)。

今年のAFLで注目度が高かったのは、マイナー120試合で146盗塁したレッズ傘下のビリー・ハミルトンでしょうか(しかし無茶苦茶な走りっぷりです)。AFLでもスピードスターぶりを発揮していましたが、試合中に外野フライを追ってフェンスに腰をぶつけ途中退場するというアクシデントがありました。来季にはメジャー昇格が期待されるだけに、大事に至らないことを祈ります。

AFLを見ると、アメリカの国土の広さと野球の裾野の広さを実感させられます。与田剛さんもメジャー挑戦した経験があるそうですが、アメリカンドリームをつかもうとする若手たちのプレーにご自分を重ねて見ることもあるのでしょうか。


2012年11月20日火曜日

コミッショナーから待ったがかかった大トレードと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、再建モードに入っているマイアミ・マーリンズと来季の巻き返しに燃えるトロント・ブルージェイズの間で合意に達しているものの、バド・セリグコミッショナーから「待った」がかかっているトレードについて。

日本のプロ野球でも複数トレードはありますが、4人も動けば多いほう。いっぽうメジャーはスケールが違います。3対3くらいは当たり前、さらには三角トレードといって3チームの間で選手が動くトレードすらあります。大人数が動くトレードはメジャーでは「ブロックバスター・トレード」と呼ばれ、注目を集めます。ブロックバスターとは「じゅうたん爆撃」の意味で、戦争で街ごと壊滅させるような大規模な攻撃のこと。今マーリンズとブルージェイズの間で行われようとしているトレードは、ブロックバスターの中でも人数と「大物度」で過去最大級と言えるものです。

マーリンズから放出されるのは、マーク・バーリー投手、ジョシュ・ジョンソン投手、ホセ・レイエス遊撃手、ジョシュ・バック捕手、エミリオ・ボニファシオ外野手の計5人、ブルージェイズからはユネル・エスコバー内野手、アデイニー・エチェバリア内野手、ヘンダーソン・アルバレス投手、ジェフ・マシス捕手、アンソニー・デスクラファニ投手、ジャスティン・ニコリーノ投手、ジェイク・マリスニック外野手の計7人。合計12人という人数もすごいですが、マーリンズから出されるメンバーの豪華さもびっくり。3人の野手は全員レギュラー(開幕戦の一番、二番打者と正捕手)、投手はエースと二番手。まさにファイアーセール、もってけドロボー状態と言って良いでしょう。これでマーリンズの支払給与総額は5分の1に圧縮されたとか。

今季マーリンズは新球場をオープン、チーム名もフロリダからマイアミに変更、監督にオジー・ギーエンを迎え、FAでバーリー、レイエス、ベルらを獲得して優勝を狙う意気込みを見せました。しかし開幕から負けが込み、オールスター前にはすでに優勝はおろかポストシーズンも望み薄な状況となってしまい、そこから主力選手の放出が始まります。

ちなみに、マーリンズの今季の開幕戦の先発メンバーと現在の去就は次の通り。

1.遊 ホゼ・レイエス(ブルージェイズへ放出予定)
2.中 エミリオ・ボニファシオ(ブルージェイズへ放出予定)
3.三 ハンリー・ラミレス(ドジャースへ放出)
4.右 ジャンカルロ・スタントン
5.左 ローガン・モリソン
6.一 ギャビー・サンチェス(パイレーツへ放出)
7.二 オマー・インファンテ(タイガースへ放出)
8.捕  ジョシュ・バック(ブルージェイズへ放出予定)
9.投 ジョシュ・ジョンソン(ブルージェイズへ放出予定)
  投 マーク・バーリー(ブルージェイズへ放出予定)
  投 ランディ・チョート(ドジャースへ放出)
  投 ヒース・ベル(ダイヤモンドバックスへ放出)
  投 アニバル・サンチェス(タイガースへ放出)
  監 オジー・ギーエン(契約解除)

レギュラー級で残っているのはまだ給料の安い主砲スタントンとモリソンのみ。ここまで徹底的なチームの解体は史上初めてではないでしょうか。地元ファンは「詐欺だ」と大ブーイング。それもそのはず、マーリンズは新球場建設にマイアミ市から多額の税金による支援を受けているのです。たった一年でやる気を失ったかのような主力放出には、MLBのコミッショナーも黙ってはいません。とりあえず、マーリンズとブルージェイズのトレードは現段階では凍結状態であり、まだ12人の移籍は正式には発表されていません。

反対に、大物選手を一度に5人獲得するブルージェイズ。さらに昨日は薬物違反で後半出場停止を食らったメルキー・カブレラ外野手との契約を発表し、一躍アメリカンリーグ東地区の優勝候補に名乗りをあげました。解体をはかるチームと、来季の戦力を着々と整備するチーム、与田剛さんはどのような感想をもつでしょうか。



2012年11月18日日曜日

2012年MVPと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、いよいよ大詰めの2012年MLB個人賞、本年度の最優秀選手、MVPです。

まずは結果から。アメリカンリーグは45年ぶり三冠王のデトロイト・タイガース、ミゲル・カブレラ。ナショナルリーグは昨年の大ケガから復活を果たしたサンフランシスコ・ジャイアンツのバスター・ポージー。ナ・リーグのほうはほぼ下馬評通りの結果。アメリカンリーグは「超新人」ロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウトが新人王に続きMVPも獲るのではないかと関心を集めましたが、結果は文句なしのカブレラ勝利に終わりました。

得票は以下の通りです。

アメリカンリーグ

ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース 362ポイント)
マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス 281ポイント)
エイドリアン・ベルトレイ(テキサス・レンジャース 210ポイント)
ロビンソン・カノ(ニューヨーク・ヤンキース 149ポイント)
ジョシュ・ハミルトン(テキサス・レンジャース 127ポイント)
アダム・ジョーンズ(ボルチモア・オリオールズ 124ポイント)

ナショナルリーグ

バスター・ポージー(サンフランシスコ・ジャイアンツ 422ポイント)
ライアン・ブラウン(ミルウォーキー・ブリュワーズ 285ポイント)
アンドリュー・マッカッチェン(ピッツバーグ・パイレーツ 245ポイント)
ヤディアー・モリーナ(セントルイス・カージナルス 241ポイント)
チェイス・ヘッドリー(サンディエゴ・パドレス 127ポイント)

アメリカンリーグでトラウトがMVP候補にあげられた一つの根拠が「セイバーメトリクス」。従来からある打率、打点、ホームラン数といった指標から離れ、できる限り公平かつ客観的に選手の成績を比較するための統計方法で、「マネーボール」で知られるオークランド・アスレチックスがこれに基づいて選手を集め成功したことで一躍脚光を浴びました。この考え方によれば、盗塁でリーグ1位(49個)を記録し、センターの守備でもホームランをもぎ取るスーパーキャッチを何度も披露したトラウトのほうが、脚や守備がイマイチの三冠王カブレラよりチームの勝利に貢献したという点で価値が高くなるのです。このようなことから、今回のカブレラ対トラウトのMVPレースは、「従来指標とセイバーメトリクスの戦い」と評する解説者もいたくらいです。

しかし結果は、圧倒的とまではいきませんがカブレラが大差をつけてMVP受賞。やはり45年ぶり三冠王のインパクトと、所属チームがリーグ優勝したという点がモノを言ったというところでしょうか。しかし今季5月にマイナーから昇格した、つまり実働期間が他の選手より一ヶ月短いトラウトの獲得ポイントがナショナルリーグ2位のブラウンとほぼ同じというのは、これはこれで驚異的なパフォーマンスと言えます。いわゆる5ツールプレイヤーとして、トラウトが今後どこまで飛躍するのか楽しみですね。

ナショナルリーグは首位打者を獲得したポージーがMVPも獲得。こちらも「MVPは優勝チームから」という不文律に即した結果となりました。2位ブラウンと3位マッカッチェンはトラウトと同じように攻守とも優れた万能プレーヤーですが、ブラウンがホームラン王を獲ったのに対し、マッカッチェンは最終的に無冠に終わったことが、順位の差になって表れたように感じます。4位のモリーナ、5位のヘッドリーは今シーズン大躍進。少々でき過ぎの感もありますので、ぜひ来年以降も同じレベルで活躍し、今シーズンがまぐれでないことを証明してほしいものです。

MVPの発表で、今シーズンのMLBの主な個人表彰は終わり。今年はトラウトやブライス・ハーパーといった桁はずれのポテンシャルを持つ新人が登場しましたが、彼らもまた近いうちにMVP候補として名前が上がるに違いありません。与田剛さんはどう評価するでしょう?おっと、来年はWBCがありますから、今はメジャーよりそっちで頭が一杯かも知れませんね。


2012年11月16日金曜日

2012年サイ・ヤング賞と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今シーズンのメジャーNo.1投手を表彰するサイ・ヤング賞について。

さあ、いよいよサイ・ヤング賞の発表です。まずは結果から。アメリカンリーグはタンパベイ・レイズのデイビッド・プライス投手、ナショナルリーグはニューヨーク・メッツのR.A.ディッキー投手。ともに20勝をあげた二人が選ばれました。得票は次のような結果となっています。

アメリカンリーグ

デイビッド・プライス(タンパベイ・レイズ 153ポイント)
ジャスティン・バーランダー(デトロイト・タイガース 149ポイント)
ジェレッド・ウィーバー(ロサンゼルス・エンゼルス 70ポイント)
フェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ 41ポイント)
フェルナンド・ロドニー(タンパベイ・レイズ 38ポイント)
クリス・セール(シカゴ・ホワイトソックス 17ポイント)

ナショナルリーグ

R.A.ディッキー(ニューヨーク・メッツ 209ポイント)
クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース 96ポイント)
ジオ・ゴンザレス(ワシントンナショナルズ 93ポイント)
ジョニー・クエト(シンシナティ・レッズ 75ポイント)
クレイグ・キンブレル(アトランタ・ブレーブス 41ポイント)
マット・ケイン(サンフランシスコ・ジャイアンツ 22ポイント)

ア・リーグは僅差でのプライスの受賞。2位バーランダーとの差が4ポイントということは、プライスの1位票が1票バーランダーに渡っていたら逆転していたということです。今年のバーランダーはMVPをダブル受賞した去年と同じようなパワーピッチングを披露してくれましたが、勝ち星が伸びなかったのが痛いですね。しかし奪三振と投球イニング数はリーグNo.1、その存在感は昨年に劣るものではありません。ウィーバーはノーヒット・ノーランこそ記録しましたが上位2人は及びませんでした。

ナ・リーグはシーズン中盤までディッキーが投手三冠を獲得する勢いで快投を続けていたのが、最終的に防御率はカーショウ、勝利数はゴンザレス、奪三振はディッキーで分け合うことに。そんなわけで混戦が予想されましたが、意外にも結果はディッキーの圧勝。やはりリーグ1位の完投・完封数と投球イニング数が評価されたのでしょう。ただ、奪三振数は1位ディッキーが230個なのに対し、カーショウが229個で2位。たった1個の差です。それなのに、カーショウが最後の登板で8回で降板してしまったのがいまだに解せません。奪三振で上回っていればサイ・ヤングもあったかも知れないのに…。

ディッキーは多方面で報じられているように、「魔球」ナックルボールが投球の大半を占めるナックルボーラーです。ナックルボーラーといえば過去にフィル・ニークロ(通算318勝)、チャーリー・ハフ(同216勝)、昨シーズンで引退したティム・ウェイクフィールド(200勝)といった名投手がいるものの、いずれもサイ・ヤング賞には無縁でした。そんな中、これまで年間自己最多勝利が11勝だったディッキーが、過去ナックルボーラーがだれもなしえなかったサイ・ヤング賞を突然獲ってしまったのですから、それもこの「魔球」の不思議な魅力と言えるかも知れません。

そういえば、ダルビッシュ有投手にも1票入っていたそうです。与田剛さんならだれに投票するでしょう。やはり同じクローザーのロドニーでしょうか?




2012年11月15日木曜日

2012年最優秀監督賞と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今シーズンのMLB最優秀監督賞について。

2012年のMLBマネージャー・オブ・ザ・イヤーは、アメリカンリーグがオークランド・アスレチックスのボブ・メルビン監督、ナショナルリーグがワシントン・ナショナルズのデイビー・ジョンソン監督と発表されました。メルビン監督はアリゾナ・ダイヤモンドバックスで2007年に受賞して以来5年ぶり、ジョンソン監督はボルチモア・オリオールズ時代の1997年以来15年ぶりの受賞。この2人には共通点があります。2人とも二度目の受賞であること、そして過去4人しかいないア、ナ両リーグでの受賞になることです。

アスレチックスは今シーズン、最終戦で首位に立って優勝というこれ以上ないドラマチックな戦いぶりを見せてくれました。夏までは「もしかしたらポストシーズンに出られるかも」くらいの期待だったのが地区優勝まで行ってしまったのですから、監督の手腕が評価されてしかるべきでしょう。アスレチックスといえば「マネーボール」の元祖、低予算のために若手中心のチーム編成が宿命付けられているわけですが、見事にやりくりして優勝を勝ち取りました。とくに終盤に好調だったバートロ・コロンが薬物の問題で出場停止になり、開幕投手のブランドン・マッカーシーが頭に打球を受けて入院しても、代わりの選手が穴を埋め、勝利のペースはまったく落ちませんでした。

ジョンソン監督は昨年途中からナショナルズの指揮を執っていますが、こちらはアスレチックスに比べれば資金力に余裕もあり、ある程度戦力は整った中での采配と言えるでしょう。ナ・リーグは他にワールドシリーズ王者のサンフランシスコ・ジャイアンツのブルース・ボウチー監督や、中地区優勝シンシナティ・レッズのダスティ・ベイカー監督も候補にあがっていましたが、この2人はどちらかといえばベテランをうまく使うタイプ。これに対しジョンソン監督は、手術明けのスティーブン・ストラスバーグ投手を医師の薦めに従い9月に「あがり」にして無理をさせず、また新人のブライス・ハーパー外野手に中軸を打たせながらチームとして今季メジャー最多勝利をあげるという、「育てながら勝つ」という難しい課題をクリアした点が評価されたのではないでしょうか。

もっとも、チームの勝利は監督の手腕だけによるものではありません。チームにフィットする選手を集めるGMを始めとしたフロントがあってこそ。また、チームの戦力がピークになりつつある時期に監督を務められるかどうかは運もあります。メルビン、ジョンソン両監督とも「球団組織のおかげ」とコメントしていますが、これは揺るぎない事実。とくにアスレチックスなど監督よりもGMのほうが存在感があるくらいですからね。与田剛さんならどう評価されるでしょうか。


2012年11月13日火曜日

2012年新人王と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今シーズンのMLBの新人王について。

2012年のMLBルーキー・オブ・ザ・イヤーは、アメリカンリーグがロサンゼルス・エンゼルスの
マイク・トラウト中堅手、ナショナルリーグがワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパー右翼手と発表されました。ほぼ下馬評通りの結果となりましたが、ナ・リーグはアリゾナ・ダイヤモンドバックスのウェイド・マイリー投手が善戦、僅差でのハーパー選出となりました。与田剛さんも1991年に新人王に選ばれていますね。

個人表彰は運にさゆうされます。どんぐりの背くらべのような年ならそこそこの成績で選ばれることもありますが、あまりに傑出した選手がいると他の年なら十分ナンバーワンになれる活躍をした選手が涙を飲むこともあります。今年の新人王は明らかに後者の年だったので、ア・ナ両リーグとも選ばれなかったルーキーには気の毒というほかありません。

MLBの各賞の選出は、今年から若干方式が変わりました。まず候補者が各リーグ3名ノミネートされ、その3名の中から全米野球記者協会の記者が投票することになったのです。新人王の両リーグのノミネート選手は以下の通りでした。

アメリカンリーグ

マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
ダルビッシュ有(テキサス・レンジャース)
ヨエニス・セスペデス(オークランド・アスレチックス)

ナショナルリーグ

ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)
ウェイド・マイリー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
トッド・フレイジャー(シンシナティ・レッズ)

ア・リーグは1位票をすべて獲得したトラウトが文句なしの受賞。実際、今シーズンのトラウトの活躍は、新人王は文句なし、むしろMVPを獲得できるかどうかのほうが注目されていると言って良いほど。新人王とMVPを同時受賞した例は過去にイチローがありますが、イチローは日本ですでに実力を発揮してからメジャーに来たわけで、今年21歳のトラウトがそれに匹敵するパフォーマンスを見せているのは驚異というほかありません。すでにゴールドグラブとシルバースラッガーを受賞しており、日本のスポーツ紙にはダルビッシュの落選を残念がる記事がいくつかありましたが、現実的にはまったく問題にならないくらいの存在感をトラウトは示しているのです。

ナ・リーグは話題性においてはハーパーがダントツでしたが、マイリーは開幕から順調に勝ち星を重ねて4月の最優秀新人に選ばれました。前半戦で9勝をあげてハーパー、トラウトとともにオールスターにも出場。ハーパーとマイリーの比較は野手と投手ですから非常に困難です。そうなると所属チームが優勝しその中での貢献度が高かった事実がハーパー有利に働いたように思えます。ハーパーはトラウトよりもまだ若く、先月20歳になったばかり。19歳でのオールスター選出は史上最年少。10代での20本塁打は史上2人目。これからまだまだ最年少記録を塗り替えていくでしょう。

今シーズンは新人が大豊作でした。落選した4人も、ダルビッシュは16勝、221奪三振、セスぺデスは打率.292、23本塁打、82打点、マイリーは16勝で防御率3.33、フレイジャーは内外野全ポジションを守りながら19本塁打。いずれの選手も他の年ならば十分に新人王を狙える成績でした。さらにはノミネートされていない青木宣親(ミルウォーキー・ブリュワーズ)やチェン・ウェイン(ボルチモア・オリオールズ)、ウィリン・ロサリオ(マイアミ・マーリンズ)にもなぜか票が入っていました。さあ、来シーズンはどんな新人が出てくるでしょうか。与田剛さんも楽しみにしていることでしょう。


2012年11月11日日曜日

韓国選手の初のポスティング移籍と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、韓国のプロ野球選手が初めてポスティング制度を使ってメジャー球団に入団する(現在では決定していませんが)話題。

先ごろ韓国プロ野球ハンファ・イーグルス所属の柳賢振(リュ・ヒュンジン)投手がメジャー移籍を目指してポスティングシステムの利用を申請、複数チームが入札したと伝えられましたが、昨日ロサンゼルス・ドジャースが2574万ドル(約20億3300万円)で落札したことが判明しました。日本人でポスティング移籍したダルビッシュ有の5170万ドル(約40億円:当時)、松坂大輔の5111万ドル(約60億円:当時)に比べればスケールは小さく見えますが、それでも韓国人プロ選手の初めてのポスティングにしてはかなりの高評価と見られています。

もちろん、韓国人メジャーリーガーはすでに何人も誕生しています。現在メジャーでレギュラークラスなのはクリーブランド・インディアンスの秋信守くらいですが、韓国人初のメジャーリーガーで昨年オリックス・バファローズにも在籍した朴賛浩、ワールドシリーズでもクローザーとして登板した金炳賢、シカゴ・カブスで期待された崔熙渉といった選手はアメリカの野球ファンにもよく知られています。しかし彼らは韓国のプロ野球を経由せず、アマチュア時代にメジャー球団と契約して入団した選手ばかり。韓国球界で優れた成績をあげた選手はなぜかメジャーでは評価が低く、選手もメジャー挑戦より日本のプロ野球でのプレーを選んでいました。柳賢振がドジャースに入団すれば、韓国球界を経験してメジャーに渡る最初の選手になります。

柳賢振は187センチ、98キロの左腕投手で150km/hを超える速球やスライダーが武器。2006年に18勝を挙げて新人王と最優秀選手に輝くなど今季まで通算98勝(52敗)をあげています。韓国代表としては2008年北京五輪の金メダル獲得に貢献。準優勝だった2009年のWBCでも5試合に投げました(優勝した日本代表の投手コーチは与田剛さんでしたね)。今季は182イニングを投げて210奪三振、防御率2.80という数字を残しています。

ドジャースといえば野茂英雄がメジャーデビューした球団であり、当時のローテーションには韓国人の朴賛浩、ドミニカ人のラモン・マルチネス、メキシコ人のイスマエル・バルデス、アメリカ人のトム・キャンディオッティが並び「インターナショナル・ローテーション」と呼ばれたもの。来季のドジャースはそこまで国際色豊かではありませんが、エースのサイ・ヤング賞投手クレイトン・カーショウを中心とした投手陣はリーグ屈指。先発にはカーショウにクリス・カプアーノと左腕投手が二人いますが、ここにもう一人、左の柳が加わるとどうなるのか、考えただけでわくわくしますね。与田剛さんも同じ気持ちではないでしょうか。



2012年11月10日土曜日

MLBとハリケーン・サンディと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、メジャーリーグのハリケーン被災者支援の話題です。

先日、アメリカ東部を襲った大型ハリケーン「サンディ」は記録的な被害をもたらし、ハリケーンが去って10日以上たつ今なお停電やガソリン購入規制が続く地域があると言われます。サンディは最短の4試合で終わったワールドシリーズの閉幕とともに来襲したわけですが、もし7戦まで続いていたら日程に大きな狂いが出ていたでしょう(与田剛さんもワールドシリーズの解説の後、飛行機が飛ばず現地で足止めを食ったそうです)。その意味では、サンフランシスコ・ジャイアンツの4連勝での優勝は、シリーズの盛り上がりには欠けたものの良かったと言えるかも知れません。

東日本大震災のときもそうでしたが、こういった災害時にMLBは積極的に支援活動を行います。MLB機構と選手会は、サンディによる被災者支援のため100万ドル(約8000万円)の寄付を表明。ニューヨーク・ヤンキースやニューヨーク・メッツなど東部のメジャー球団、さらにはかつてニューヨークに本拠地をおいていたワールドシリーズ王者ジャイアンツもそれぞれ寄付や支援を行っています。チャリティに熱心なことで知られるメッツのR.A.ディッキー投手は、個人的に2万ドルを寄付したと報じられました。彼がプレイヤーズチョイスアワードでナ・リーグの優秀投手に選ばれたのは、このような人間的な側面もあるのではないでしょうか。

「この非常事態に我々のファンや地元社会をサポートするのは、メジャーリーグにとって名誉なこと。また、全ての関係者が地域のリーダーやいち早く手を差し伸べてくれたボランティアたちに感謝している。今こそ偉大なるアメリカンスピリットを発揮する時だ」
--- MLBコミッショナー バド・セリグ

「サンディによる隣接3州への被害はすさまじいものだが、我々はここから立ち直って見せる。ヤンキースも自分たちの役目を果たすつもりだ」
--- ニューヨーク・ヤンキース ハル・スタインブレナー共同オーナー

超人的なプレーでファンを興奮させてくれるだけでなく、困っている人々を率先して支援するのもMLBの魅力ですね。


2012年11月9日金曜日

2012年シルバースラッガー賞と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今日発表されたシルバースラッガー賞について。

さあ、MLBの各賞の発表ウイークが始まりました!先日はグラブのローリングス社が守備の達人を表彰するゴールドグラブ賞が発表されましたが、今回はメジャーリーガー御用達バット「ルイビルスラッガー」のメーカーであるヒラリッチ&ブラズビー社が打撃に優れた選手を表彰するシルバースラッガー賞です。両リーグ、各ポジションごとにもっとも打力の優れた選手を表彰するというもの。アメリカンリーグは「指名打者」の枠があるのに対し、ナショナルリーグは「投手」の枠があります。

受賞者は、次の18人です。

アメリカンリーグ

一塁手 プリンス・フィルダー(デトロイト・タイガース)
二塁手 ロビンソン・カノ(ニューヨーク・ヤンキース)
三塁手 ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)
遊撃手 デレク・ジーター(ニューヨーク・ヤンキース)
左翼手 マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
中堅手 ジョシュ・ハミルトン(テキサス・レンジャース)
右翼手 ジョシュ・ウィリンガム(ミネソタ・ツインズ)
捕手    A.J.ピアジンスキー(シカゴ・ホワイトソックス)
指名打者ビリー・バトラー(カンザスシティ・ロイヤルズ)

ナショナルリーグ

一塁手 アダム・ラローシュ(ワシントン・ナショナルズ)
二塁手 アーロン・ヒル(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
三塁手 チェイス・ヘッドリー(サンディエゴ・パドレス)
遊撃手 イアン・デズモンド(ワシントン・ナショナルズ)
左翼手 アンドリュー・マッカッチェン(ピッツバーグ・パイレーツ)
中堅手 ジェイ・ブルース(シンシナティ・レッズ)
右翼手 ライアン・ブラウン(ミルウォーキー・ブリュワーズ)
捕手   バスター・ポージー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
投手   スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)

もっとも多く受賞者を出したのはナショナルズ。面白いのは投手のストラスバーグですね。今年は肘の手術を受けた影響で投球回数を制限されたことにより、9月上旬で一人さびしくシーズンを終了。ポストシーズンでの投球も実現しなかったわけですが、160km/h以上のボールを投げるこの火の玉投手(与田剛さんも157km/hのボールを投げました)は、バッティングにも非凡なものを持っているのです。今季の打率は.277、しかも二塁打を4本、ホームランも1本(オリオールズのチェン・ウェイン投手から)打っています。ホームランを打った後の談話で「野手じゃないからいつもこうはいかないよ」と答えていましたが、これは謙遜でしょう。打席の雰囲気からも、かなりバッティングが好きなことがうかがえます。

ゴールドグラブとシルバースラッガーを両方受賞した、守備も打撃も両方イケてるプレーヤーはカノ、ラローシュ、ヘッドリー、マッカッチェン。カノとマッカッチェンは日本でもそこそこ知名度がありますが、ラローシュ、ヘッドリーはあまり知られていないのでは?このあたりは人気がイマイチの球団ということもあるでしょうが、メッツのデイビッド・ライト、ナショナルズのライアン・ジマーマンといった強打者のひしめくナ・リーグの三塁で選出されたヘッドリーは、今季突然開花したスイッチヒッターで今後も要注目。毎年新しいスターが出てくる、知れば知るほど楽しくなるMLB、来季も与田剛さんの解説で楽しみましょう。


2012年11月8日木曜日

ロッキーズ新監督に就任したワイスと与田剛


皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今日飛び込んできたコロラド・ロッキーズの新監督のニュース。

ロッキーズは今季64勝98敗。日本の大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)でプレー経験のあるジム・トレーシー監督のもと開幕を迎えましたが、長年の課題である弱体投手陣を立て直せずナショナルリーグ西地区最下位に沈みました。ロッキーズといえば高地に球場があるためボールがよく飛び、打者には有利といわれていますが、それにしても今季のチーム防御率が5.22というのは悪すぎます。とはいえ意外にリリーフ陣は健闘しており、ひどいのは先発陣。勝ち頭がジェフ・フランシスの6勝で、先発した全員が負け越しと聞くと冗談だろうと疑いたくなるほど。投手コーチのボブ・アポダカも匙を投げたのか、シーズン途中で退団してしまいました。

全日程終了後、トレーシー監督も辞任。球団は新監督候補を4人ピックアップします。まずアリゾナ・ダイヤモンドバックスの三塁ベースコーチ、マット・ウィリアムス。ロッキーズのベンチコーチ(与田剛さんもWBCのコーチです)、トム・ランネルズ。現役ロッキーズ選手のジェイソン・ジオンビ。そしてワイス。いずれもメジャー監督の経験はなく、誰に決まってもわくわくさせてくれそうな面々ではありました。最終的には現フロントとの結びつきの強いワイスが選ばれましたが、おそらくワイス以外の3人も近いうちにどこかのチームで監督をするのではないでしょうか。

さて、ワイスの経歴をご紹介すると、スイッチヒッターの巧打の遊撃手として1987年にオークランド・アスレチックスでメジャーデビュー、翌年のア・リーグ新人王に輝きます。メジャーでの活躍は14年間、ロッキーズには1994年から97年までの4年間在籍し、最後に所属したアトランタ・ブレーブス退団後は、ロッキーズのジョン・オダウドGMの特別補佐、チームの特別コーチとしてフロントで働き、今年一年間は息子の通うコロラド州オーロラの高校野球部のヘッドコーチを務めていたとのこと。ちなみにこの野球部の成績は20勝6敗だったとか。しかしまったくプロの監督、コーチの経験のない人材がいきなりメジャー監督とは、このあたりもさすがメジャー、といったところでしょうか。

2007年にワールドシリーズまで上り詰めたのをピークに、その後のロッキーズの成績は坂道を転げ落ちるかのよう。今年の98敗は創立年をも上回る最悪の負け数でした。課題は山積みですが、しかし希望もあります。ゴールドグラブを受賞したカルロス・ゴンザレス左翼手はじめ、デクスター・ファウラー中堅手、クリス・ネルソン三塁手といった若手が打率3割でシーズンをフィニッシュ。これらの選手は来季まだまだ伸びしろがあります。また正捕手ラモン・ヘルナンデスの故障で出場機会を得たウィリン・ロサリオはチームの新人記録となる28本塁打を記録し、生え抜きのスター、トッド・ヘルトンの衰えを見事にカバーしました。投手はオフの補強でどれだけ駒が揃うかによりますが、打線に関してワイス監督は良い遺産を引き継いだとも言えます。

それにしても、最近のメジャー監督はシカゴ・ホワイトソックスのロビン・ベンチュラ監督、ロサンゼルス・ドジャースのドン・マティングリー監督、ダイヤモンドバックスのカーク・ギブソン監督、そして来季から指揮をとるマイアミ・マーリンズのマイク・レドモンド監督といった、まだ現役時代の活躍の記憶が新しい人材が選ばれる傾向を感じます。そういえば、ベーブ・ルースのシーズンホームラン記録を破った、「あの」マーク・マグワイアがドジャースの打撃コーチに就任するそうです。与田剛さんもどこかのチームの監督をすることはあるでしょうか。



2012年11月6日火曜日

プレイヤーズチョイスアワードと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、昨日発表されたMLBプレイヤーズチョイスアワードについて。

日本の新聞では「ダルビッシュ新人賞ならず」みたいな見出しが付けられて、いわゆる新人王のことかと思った方もいることでしょう(与田剛さんはデビューの年に新人王に輝いています)。そうではなくて、これは「選手自身が選ぶ優秀選手」。これから発表されるリーグ表彰の各賞は野球記者が投票して決めますが、それとは別に自分たちで今年きわだっていた(原文ではoutstanding)と思う選手を表彰しようというものです。

記者による客観的な評価がもとになるリーグ表彰と違い、プレイヤーズチョイスアワードは「選手の目から見た凄い奴」であり、また「同僚からのリスペクト」という点も票に反映しますから、データ重視のリーグ表彰とはまた違った面白みがあります。

では、今年表彰された選手をご紹介すると…。

プレイヤー・オブ・ザ・イヤー:ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)

マービン・ミラー・マン・オブ・ザ・イヤー:チッパー・ジョーンズ(アトランタ・ブレーブス)

優秀選手(AL):ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)
優秀選手(NL):アンドルー・マッカッチェン(ピッツバーグ・パイレーツ)

優秀投手(AL):デイビッド・プライス(タンパベイ・レイズ)
優秀投手(NL):R.A. ディッキー(ニューヨーク・メッツ)

優秀新人(AL):マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
優秀新人(NL):トッド・フレイジャー(シンシナティ・レッズ)

カムバックプレイヤー(AL):アダム・ダン(シカゴ・ホワイトソックス)
カムバックプレイヤー(NL):バスター・ポージー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)

「今年の顔」は45年ぶり三冠王のミゲル・カブレラで、これはおそらく文句なしでしょう。マービン・ミラー・マン・オブ・ザ・イヤーというのは、そのパフォーマンスで観客やコミュニティを元気づけた選手に贈られるもので、今季限りで引退を決めたチッパー・ジョーンズが受賞。たしかに今年はどの球場も最後のチッパーを見ようと観客がつめかけ、ブレーブスのロードゲームはさながら「チッパーさよならツアー」の様相でした。ブレーブス一筋20年、泥臭く黙々とプレーするその姿は、ファンはもちろん選手にも愛されていました。

ジョーンズといえば、野茂英雄と新人賞の「同期」。野茂がメジャー挑戦し全米にノモマニア現象を起こした年、リーグ表彰の新人王は野茂でしたが、プレイヤーズチョイスの新人賞はこのジョーンズでした。その年の新人たちは野茂という突然の嵐に多くの賞を「奪われた」格好でしたが、選手が選ぶ表彰でジョーンズが選ばれたというのは、前年故障のリハビリによる全休からの復帰もあり、やはり彼のプレーぶりが共感を呼んでいたということでしょう。

今年のナショナルリーグの優秀新人も若干意外でした。インパクト十分のブライス・ハーパーかと思ったら、レッズのユーティリティープレイヤー、トッド・フレイジャーが受賞したのです。フレイジャーはあまり目立ちませんでしたが、打率.273、19本塁打、67打点と新人としては立派な成績を残しています。しかも内外野多数のポジションをこなしてチームに貢献。次のフレイジャーの一言がこの賞の意義を端的に表しているのではないでしょうか。

「この賞で、選手が他の選手に持っているリスペクトがわかる。みんな野球を理解しているからね。このゲームをプレーするのは本当に大変なんだから」

与田剛さんならどんな選手を選ぶでしょうか。

2012年11月4日日曜日

来季からア・リーグに移るアストロズと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、来季からアメリカンリーグに移動するヒューストン・アストロズについての話題。

MLBはシーズンが終わった後もニュースが続きますので、まったく退屈しません。いわゆるストーブリーグが開幕、すでに各チームは来季の戦力を整えようとフリーエージェント選手の獲得交渉を開始しており、MLB事務局もまた12年度の優秀選手の表彰や来季に向けてのさまざまな取り組みを発表しています。

MLB全体に関係する動きとして来季の目玉になるのは、ヒューストン・アストロズのナショナルリーグからアメリカンリーグへの移動でしょう。ご存じのように、メジャーリーグはアメリカン、ナショナルの2リーグがあるのですが、今年まではア・リーグ14チーム、ナ・リーグ16チームとなっていました。また、ア・リーグ西地区が4チームしかないのにナ・リーグ中地区は6チームあり、地区優勝チームがプレーオフに出られるという制度のもとでは不公平です。これを解消するためにアストロズがナ・リーグ中地区からア・リーグ西地区に移動することになったのです。これでア・ナ両リーグの全地区が5チームずつになるというわけです。チームのリーグ移転は1998年にア・リーグからナ・リーグに移転したミルウォーキー・ブリュワーズ以来。しかし両リーグともにチーム数が奇数ですので、毎日どこかで1試合はリーグをまたいだインターリーグマッチ(交流戦)が行われるということになります。

このようなことからファンの中には、MLB事務局にとって今回のアストロズのリーグ移転はあくまで暫定的なものという見方をする人もいます。やはり両リーグとも偶数のほうがすっきりしますし、ということは、MLBはさらにチーム数を増やすつもりではないかと。

ところで、数日前にアストロズにはちょっとした事件がありました。チームは来季からのア・リーグ移転を記念してユニフォームのデザインを一新したのですが、新デザインのグッズが発表の4日前に一部のスポーツショップとMLB.comのオンラインショップに並んでしまい、せっかくの発表セレモニーに水を差してしまったのです。これについてはMLBが不手際を認めてアストロズに正式に謝罪しました。

新ユニフォームのデザインは、一言でいえばレトロ調。1940~50年代のヒューストン・コルツ時代を思わせるもので、ファンのツイッターなどを見ると、おおむね好意的に受け止められているようです。帽子のマークもこれまでの星だけのデザインから、星の上に「H」が乗った70~80年代のデザインに近いもの。アストロズといえば未来的な「虹色ユニフォーム」で話題をさらったかと思うと、このように復刻調のデザインを採用することもあり、なんだかユニフォームは未来と過去を行ったり来たりしているような印象があります。

ところで、アストロズに関して気になるのは、引退しているサイ・ヤング賞5回受賞の大投手ロジャー・クレメンスを再獲得するのではないかという噂。実際、今年クレメンスは独立リーグの実戦登板も経験し、着々と準備を進めているようですが、50歳の再デビューは実現するのでしょうか。アストロズは2年続けてナ・リーグ中地区最下位、しかも2年続けて100敗以上という目を覆いたくなるような惨状。話題作りとしてもクレメンス獲得はなくはないように思えるのですが、どうでしょうか。与田剛さんの予想も聞いてみたいところです。



2012年11月3日土曜日

再建モードに入ったマーリンズと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ストーブリーグ突入と同時に積極的な動きを見せているマイアミ・マーリンズについて。

昨シーズン終了後、フロリダ・マーリンズは新球場オープンに伴い、マイアミ・マーリンズへの球団名変更とユニフォームのデザイン一新を発表。そしてこの記念すべき年に優勝を狙うべく、大型補強を敢行しました。まずFA市場からサンディエゴ・パドレスの守護神ヒース・ベル(与田剛さんも中日の守護神でした)、シカゴ・ホワイトソックスの左腕エースで完全試合の経験もあるマーク・バーリー、2011年にナショナルリーグ首位打者を獲得したニューヨーク・メッツのホセ・レイエス遊撃手を獲得。そして監督は南米系アメリカ人の多い土地柄を考慮して、ホワイトソックスでワールドシリーズ優勝経験のあるベネズエラ人のオジー・ギーエンを迎えました。

しかし結果は惨憺たるもの。結果はフロントの期待を大きく裏切り、シーズン終了後69勝93敗でナショナルリーグ東地区最下位。ベルはセーブ失敗を繰り返し、バーリーは13勝13敗、レイエスも打率.287と期待外れ。そもそもレギュラー野手に3割以上がおらず、投手も13勝のバーリーが最多勝ではとてもプレーオフには出られません。シーズン半ばで匙を投げたフロントは、先発のアニバル・サンチェス投手、オマー・インファンテ二塁手を放出し、引き換えに若手選手を獲得する方針に切り替えていました。唯一明るい材料は、生え抜きのジャンカルロ・スタントンが3割40本に届こうかというバッティングセンスを開花させたことくらいでしょうか。

フロントはギーエン監督の放言癖にも悩まされました。春先にはキューバのカストロ議長を尊敬しているという失言で地元民から総スカンを食い(マイアミはキューバからの亡命者が多く、カストロに対して当然良い感情は持っていません)、謝罪会見を開く羽目に。もっとも、過去にも試合中にツイッターに審判批判を投稿するなど、問題の多い監督ではありましたが・・・。

思い切ったお金の使い方もしますが、結果が出なければすぐに切り捨てるのがマーリンズ流。ジェフリー・ロリア球団社長はワールドシリーズ開催中にギーエン監督の契約解除を発表、19セーブで防御率5点台と期待を裏切ったクローザーのベルをさっそくアリゾナ・ダイヤモンドバックスに放出しました。そして先日、メジャー監督経験のないマイク・レドモンドを新監督に迎える契約を結びます。7年間マーリンズでプレーした経験のあるレドモンドは選手として目立った記録を残せませんでしたが、トロント・ブルージェイズ傘下のマイナー球団で監督を務め、リーグ優勝を一度経験しています。契約は2年間、フロントはそれなりに辛抱するつもりもあるようですが、来年の今頃はどのようになっているでしょうか。与田剛さんも気になるでしょう。






2012年10月31日水曜日

2012年ゴールドグラブ賞と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、昨日発表されたゴールドグラブ賞について。

スポンサーであるローリングス社の名前を冠し、正式にはローリングス・ゴールドグラブ・アワードと名付けられたこの賞は、各ポジションごとに今年MLBにおいて守備力でもっとも優れていると評価された選手を表彰するものです(ちなみに日本の同趣旨の賞は「ゴールデングラブ賞」)。外野手は2010年まではポジションに関係なく3人が選ばれていましたが、昨年からポジションを考慮した選出となっています。

前日にノミネート選手が発表され、10月30日に受賞者が以下の通り発表されました。

アメリカンリーグ

捕手 マット・ウィータース(2回目 ボルチモア・オリオールズ)
一塁 マーク・テシェイラ(5回目 ニューヨーク・ヤンキース)
二塁 ロビンソン・カノ(2回目 ニューヨーク・ヤンキース)
三塁 エイドリアン・ベルトレ(4回目 テキサス・レンジャース)
遊撃 J.J.ハーディ(1回目 ボルチモア・オリオールズ)
左翼 アレックス・ゴードン(2回目 カンザスシティ・ロイヤルズ)
中堅 アダム・ジョーンズ(2回目 ボルチモア・オリオールズ)
右翼 ジョシュ・レディック(1回目 オークランド・アスレチックス)
投手 ジェレミー・へリクソン(1回目 タンパベイ・レイズ)
投手 ジェイク・ピービー(1回目 シカゴ・ホワイトソックス)
※AL投手は同得票数で2人選出

ナショナルリーグ

捕手 ヤディアー・モリーナ(5回目 セントルイス・カージナルス)
一塁 アダム・ラローシュ(1回目 ワシントン・ナショナルズ)
二塁 ダーウィン・バーニー(1回目 シカゴ・カブス)
三塁 チェイス・ヘドリー(1回目 サンディエゴ・パドレス)
遊撃 ジミー・ロリンズ(4回目 フィラデルフィア・フィリーズ)
左翼 カルロス・ゴンザレス(2回目 コロラド・ロッキーズ)
中堅 アンドルー・マッカッチェン(1回目 ピッツバーグ・パイレーツ)
右翼 ジェイソン・ヘイワード(1回目 アトランタ・ブレーブス)
投手 マーク・バーリー(4回目 マイアミ・マーリンズ)

もっとも多くの受賞者を輩出したのは今季15年ぶりに勝ち越しとポストシーズン進出を果たしたボルチモア・オリオールズ。延長戦での神がかり的な強さは、やはり守備力の裏付けがあったからと言えるでしょう。

また、初受賞が19人中9人とほぼ半数。今年は守備の面でも新旧交代が進んだ年でした。フレッシュな顔ぶれが出てきた代わりに、同賞の常連であったオマー・ビスケル(遊撃手)、スコット・ローレン(三塁手)、イチロー(外野手)、トリー・ハンター(外野手)などベテランの名前がなくなり、時の流れも感じます。

ところでナ・リーグの二塁手、ダーウィン・バーニーの名前はあまり日本では知られていませんが、実は母方の祖父が日本人、祖母は韓国人。祖父の名字は山本だそうで、本人もどことなくオリエンタルな顔立ちです。メジャーに日本人内野手もいなくなっていることですから、もしテレビに映ることがあれば応援してしまいそうです。

今後何年もこの賞を連続受賞しそうな名手はAL三塁のベルトレ、右翼のレディック、NL右翼のヘイワード、中堅のマッカッチェンといったところでしょうか。NL捕手のモリーナは今年で5年連続ですが、彼の最大のライバルはワールドシリーズで優勝したジャイアンツのバスター・ポージー。すでにベテランの域に達しているモリーナがいつまで捕手守備力No.1の座を守るか、来年以降、レベルの高い戦いになりそうな予感です。与田剛さんはどのように予想されるでしょうか。


2012年10月30日火曜日

ジャイアンツ、ワールドシリーズ優勝!と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、4連勝でワールドシリーズ優勝を果たしたサンフランシスコ・ジャイアンツについて。

短期決戦は勢いがすべて。本来の選手個々人の力を比較すれば、おそらくデトロイト・タイガースのほうがジャイアンツを上回っているでしょう。実際、シリーズ前の下馬評は、ジャスティン・バーランダーを軸とした超一級品のピッチングスタッフ、三冠王ミゲル・カブレラに強打者プリンス・フィルダーと続く重量打線、そのメンバーが約一週間の休養をとってシリーズに臨んだタイガースに分があるとするものがほとんどでした。

しかしそんな前評判など何のその、緒戦でバーランダーを4回ノックアウトしたジャイアンツは、そのままの勢いでタイガースを押し切ってしまいました。第4戦こそ一時リードを許し延長戦にもつれこみましたが、最後まで試合の決定権を離しはしませんでした。ジャイアンツといえば、数年前はバリー・ボンズというスーパースターがいました。しかし今は、それほどの圧倒的な存在感を持つ選手はいません。しかし個性的な選手たちがそれぞれに持ち味を生かし、チーム力でタイガースの「個の力」を粉砕したと言えるでしょう。

「パンダ」の愛称にふさわしい小太り体型ながら、絶妙のバットコントロールからヒットを量産、緒戦の一試合3本塁打でシリーズMVPを獲得したパブロ・サンドバル。試合前にダグアウトで円陣の中心になり、鬼のような形相でメンバー全員に喝を入れるハンター・ペンス。レギュラーシーズンでの不調から中継ぎ降格を命じられるも完璧に役割を果たしたティム・リンスカム。打棒は今一つでしたが第4戦では見事にホームランを放ち、リードでは2試合の完封を支えたバスター・ポージー。リーグチャンピオンシップほどは打てませんでしたが、やはりいいところでヒットを放ち攻守も見せたマルコ・スクタロ。守護神ブライアン・ウィルソンが故障で出場できない中、ミニ・ウィルソンともいえるサンタクロースヒゲをはやして見事にクローザーの役割をまっとうしたセルジオ・ロモ(与田剛さんもクローザーでしたね)。そして先発で期待に応えたバリー・ジト、ライアン・ボーグルソン、マディソン・バムガーナー。役者がそろった、というか、見ていて面白いのは間違いなくタイガースよりジャイアンツでした。

特筆すべきは、ペンスとスクタロは今季シーズン途中に移籍してきた選手であること。通常、シーズン途中に獲得するのは、レギュラー選手の故障などで「欠けたピース」を埋める助っ人的な役割であることが多いもの。しかしポストシーズンのペンスは、まるで長年このチームにいるベテラン選手のようなチームリーダーぶりでした。リーグ優勝シリーズは打率5割でMVPを獲得したスクタロといい、この二人を獲得したフロントこそが、本当の意味でMVPと言えるかも知れません。そして、この3年間で2度目の世界一、ブルース・ボウチー監督もこれで名監督の仲間入りをしたと言えるでしょう。

さて、2012年のメジャーリーグはこれで終了。あとは来年の開幕までストーブリーグで楽しみましょう。しばらくは今年活躍した選手の表彰が続きます。本当に、メジャーリーグは次々と楽しみを与えてくれて飽きることがありません。与田剛さんもきっとそう思っていますよね。



2012年10月28日日曜日

大詰めのワールドシリーズと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、サンフランシスコ・ジャイアンツがデトロイト・タイガースに3連勝して優勝に王手をかけたワールドシリーズについて。

互いに歴史の古い名門チームながら、ワールドシリーズでは初対戦となるジャイアンツ対タイガース、アメリカ版「伝統の一戦」。ジャイアンツがセントルイス・カージナルスとの死闘でリーグチャンピオンシップが7戦までもつれこんでいる間に、タイガースはニューヨーク・ヤンキースに4連勝してあっさりリーグ優勝。タイガースが約一週間の休養を手に入れ万全の準備で臨んだのに対し、ジャイアンツはリーグ優勝を決めて中1日でワールドシリーズになだれこみました。こういった対戦は勢いのあるほうが有利と言われますが、まさにその通りの展開となっています。

第1戦、舞台はジャイアンツのホームであるAT&Tパーク。先発はタイガースが絶対的エースのジャスティン・バーランダー、ジャイアンツはリーグ優勝シリーズでの好投で評価を上げたバリー・ジト。ともにサイ・ヤング賞経験者同士の対戦ながら、ポストシーズン3連勝と波に乗るバーランダーが有利と誰もが予想したこのゲーム、ジャイアンツの「カンフー・パンダ」ことパブロ・サンドバルにホームラン2連発が飛び出し、バーランダーはなんと4回でノックアウト。ジャイアンツはジトからさらにサイ・ヤング賞経験者のティム・リンスカムにつないで8対3と危なげなく第1戦を取りました。なお、サンドバルはバーランダーが降板した後にもホームランを放ち、史上4人目のワールドシリーズ一試合3本塁打。ベーブ・ルース、レジー・ジャクソン、アルバート・プホルスに続いて歴史に名を刻みました。

第2戦、タイガースの先発はシーズン終盤に9連続奪三振を記録するなど好調なダグ・フィスター、ジャイアンツは左腕マディソン・バムガーナー。ともに6回まで無失点の見事な投手戦となりましたが、7回にジャイアンツが無死満塁からダブルプレーの間に1点を先制。これが決勝点となり、最終的に2対0で勝利しました。バムガーナーは地区シリーズ、リーグチャンピオンシップ、いずれも調子が悪く負け投手となっていたため、リンスカムを先発に戻してバムガーナーをリリーフに回すアイデアが多くのファンの頭に浮かんでいたことでしょう。しかしブルース・ボウチー監督は配置転換せず、バムガーナーに三度目の正直を期待し、バムガーナーも見事期待に応えたのでした。

舞台をタイガースの本拠地コメリカパークに移して行われた第3戦、タイガースの先発はポストシーズン防御率1点台と好調のアニバル・サンチェス、ジャイアンツはこちらもポストシーズン負けなしのライアン・ボーグルソン。危なげなくジャイアンツ打線を封じ込めるサンチェスに対し、何度も走者を背負うピッチングとなったボーグルソンですが、勝負とは不思議なもの、守備の乱れからサンチェスが2点を失ったのに対し、ボーグルソンは要所を締めて無失点でリンスカムにマウンドを譲ります。結局この試合も2対0でジャイアンツが勝利。タイガースは2試合続けての完封負け。三冠王カブレラ、強打者フィルダーと続く三・四番がブレーキになり、まったく機能していません。もう少しで崩れそうなボーグルソンを崩せなかったのは、ただただ長打狙いで打たせただけというベンチの無策も原因といえそうです。とはいえ、足が使える選手、小技のきく選手が少ないタイガースだけに手の打ちようもないのかも知れませんが。この点、なんとなく日本のタイガースと似ているような…。

さあ、明日で今年のワールドチャンピオンが決まってしまうのか、それともタイガースが地元で意地を見せるのか。個人的には(いや、多くのファンがそうでしょう)一試合でも多く熱戦を見たいので、次はタイガースに勝ってほしいものです。与田剛さんの解説で観戦しましょう。

2012年10月27日土曜日

ワールドシリーズの見どころと与田剛

皆さんこんにちは。ワールドシリーズはサンフランシスコ・ジャイアンツの2連勝で、第3戦から舞台はデトロイト・タイガースの本拠地コメリカパークに移ります。今回の与田剛ファンの気まぐれブログは、米国のスポーツ専門放送局ESPNの記者による「ワールドシリーズの見どころ」をご紹介します。

ただ、おそらくこの記者はタイガースファンのようで、少々タイガースびいきが過ぎる箇所もあります。まあそのあたりは大目に見てあげましょう。

ワールドシリーズを観戦する10の理由

1.ミゲル・カブレラ

この大舞台でメジャー最高の打者が見られる!ジャイアンツはいかに彼を攻略するか。カブレラはポストシーズン9試合で打率.278、1本塁打とイマイチな成績であるが、しかしジャイアンツは彼に打たせたくないなら相当用心深くならねばならない。このシリーズで、カブレラは三冠王にふさわしい打撃を見せてくれるだろう。

2.ジャスティン・バーランダー

今季のサイ・ヤング賞は無理だろうが、彼がメジャー最高のピッチングスタッフを持つチームの最高の投手であることは間違いない。新人時代の2006年と2011年のポストシーズンでは平凡な内容だったが、今の彼は違う。ここまで3度登板して3連勝、ワールドシリーズは緒戦に先発するので2回の登板チャンスがある。過去ポストシーズンで5勝した投手はいないが、彼は記録を作れるかどうか。ただ、彼が地区シリーズで対戦したアスレチックスはリーグ最多三振のチーム、リーグ優勝シリーズのヤンキースは歴史的貧打線と、組みしやすかった。ジャイアンツは当ててくるチームなので簡単にはいくまい。おそらく球数も増えるし、タイガースの不安な守備陣にもプレッシャーがかかる。この難しい状況をいかにバーランダーが克服するかは見物だ。

3.ジム・リーランド、ブルース・ボウチー両監督

リーランドとボウチーは過去25年間で最高レベルの監督であり、ともに今年2回目のワールドタイトルを狙っている。ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルス、ボストンといった大都市のチームを率いていないにもかかわらず、リーランドはボウチーよりも注目を集めてきた。しかし、このシリーズの勝者は、メディアの注目以上のもの(それはたとえば殿堂入り)を手に入れるかも知れない。二度ワールドシリーズに優勝したら必ず殿堂入りできるわけではないが(シト・ガストン、トム・ケリーという例がある)、リーランドは歴代監督15位、ボウチーは23位の勝利数を誇っている。このシリーズは彼らの「遺産」をより強固にする。

4.マルコ・スクータロ

スクータロのような普段は地味な選手がスタープレイヤー以上に重要な役割を果たすのもポストシーズンの醍醐味である。三番、四番打者だけで相手を倒さなければならないわけではないのだ。スクータロはナ・リーグ優勝決定シリーズで14安打を放つなど絶好調。一昨年はコーディ・ロスがそうだった。ロスもまたシーズン終盤にやってきて、10月に大活躍した選手である。泥臭いスクータロの打席は賞賛に値する。彼はパワーにこだわらず、類まれなバットコントロールでボールを前に転がす。

5.マット・ケイン、ティム・リンスカム、マディソン・バムガーナー

彼らのうちのだれかは、ワールドシリーズの先発から外れるかも知れない。バムガーナーのボールのスピードはここ数試合で下り坂である。しかし、この3人は二度目のワールドシリーズタイトルに貢献するチャンスはある。リンスカムは今年もちろん良いシーズンを送ったとは言えないが、今はそんなことは問題ではない。ジャイアンツは彼の先発が一度、いや二度必要になるかも知れない。

6.敬遠四球と犠牲バント

昨年のワールドシリーズ、ロン・ワシントンとトニー・ラルーサ両監督は走塁とバントで誤った判断を繰り返したのを覚えているだろうか。まあ結果論ではあるが。リーランド、ボウチー両監督にはそんな場面を見せてほしくない。とはいえワールドシリーズは、平凡な頭の監督を錬金術師に変えてしまう場でもある。ナ・リーグの優勝決定シリーズではカージナルスのマイク・マセニー監督が第6戦で八番打者のブランドン・クロフォードを無警戒で走らせ、ビッグイニングのきっかけを作った。去年はワシントン監督が第6戦でアルバート・プホルスに敬遠四球を与えたことがレンジャースの劇的な敗戦のきかっけとなった。短期決戦では、監督の決断が勝敗を決する要素となる。

7.プリンス・フィルダー

タイガースが2億1400万ドルでフィルダーと契約したとき、喜ばしいと思った人はあまり多くなかった。でも考えてみよう。タイガースのイリッチ・オーナーは83歳、今年のワールドシリーズに賭けているのだ。フィルダーは試合後にエクササイズバイクに乗ってはいないが、その胴まわりにも関わらず、彼はメジャー有数の才能ある打者である。ポストシーズン最初の2ラウンドでは打率.211、敬遠ではない四球2と少々慎重になりすぎているようだ。自身最初のワールドシリーズ、もっとリラックスして打ってほしい。

8.セルジオ・ロモ

時速98マイル(156.8km/h)の速球を投げるクローザーが必要だなんて言うのは誰だろう?ロモは90マイル(144km/h)を割る球速ながら実にとらえにくいスライダーを投げる。クローザーのブライアン・ウィルソンが負傷、サンティアゴ・カシーヤが不調でロモを使わざるを得なかったとき、ジャイアンツはロモに完全な信頼を置いているようには見えなかった(昨年は65回の登板で48イニングしか投げていない)。ロモはここ数年はリリーフ専門の右腕だが、今季は左打者を被打率.167に抑え込み、どんな打者に対するときもボウチー監督の信頼を勝ち得ている。1点差でカブレラ、フィルダーと対戦することもあるだろう。これはかなりわくわくする場面である。

9.寒さ

重ね着をしてイヤーマフ、手袋をつけたプレイヤーを見るのは面白い。そんなことはないか。この週末のデトロイトの気候は華氏30度(摂氏マイナス1度)、リーランド監督はダグアウトでタバコを吸うために特別の器具を使ったのではないか。しかし、一年で一番重要な野球の試合が、野球よりも氷の彫刻を作るほうが適した気候のもとで行われることは秘密でもなんでもない。この気候が勝敗を決する要素にならないことを祈るが。

10.ダレル・エバンスの始球式

ダレル・エバンスは1970年代、80年代の過小評価されているスターである。彼はジャイアンツとタイガースの両チームに所属した(1984年、タイガースがワールドチャンピオンに輝いたときのメンバーでもある)。ダレル・エバンスを見たい。

私たちは日本で、与田剛さんの解説でワールドシリーズを楽しみましょう。




2012年10月26日金曜日

奇跡のバットの「その後」と与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、前回ご紹介したハンター・ペンスの「三度打ち」バットが無事戻ってきたという話題。

サンフランシスコ・ジャイアンツがナショナルリーグの優勝を決めたリーグチャンピオンシップ第7戦、勝負を決定付けたペンスの3点二塁打を生んだバットが球場内の使用済みグッズショップで販売されてしまい、球団が買い戻させてほしいと訴えていることを前回お知らせしました。このバット、折れたために一度のスイングで三度もボールに当たったという前代未聞の現象が超スロービデオ再生で判明、突然「歴史的価値」を持ってしまったのでした。

さて、球団からの告知の翌日、バットを購入したのは自分だと57歳のソフトウェアエンジニアの男性が名乗り出ました。男性はジャイアンツの大ファンでチームグッズのコレクター。しかし「三度打ち」のニュースを聞いて息子と「父さん、これは返すべきだよ」「うん、父さんは正しいことをするよ」という会話を交わしたのだとか。

球団はバットを400$で買い戻し(売値は150$)、バットは無事に持ち主のペンスの手に戻りました。もちろんペンスは大喜び。ペンスは自分のバットすべてに名前をつけているそうで、このバットの名は「フライヤー(フライ打ち?)」だったそうですが、別のバットにサインをして男性にプレゼントしました。

球団はさらに男性の厚意に報いるためにワールドシリーズ第1戦、第2戦の舞台となるAT&Tパークの球団社長のスイートルームに招待、男性は妻とともに地元でのワールドシリーズをVIP待遇で観戦したということです。しかもそのスイートルームにはオーランド・セペダ、ゲイロード・ペリーというジャイアンツのスーパースター級OBも招待されていたとのこと。ジャイアンツファンとして天にも昇るような幸福な時間を味わったのでした。

しかしこの男性、バットを購入したときも、15人の希望者の中からくじ引きで選ばれたのだそうで、かなりの強運の持ち主。しかも男性が招待された2試合でジャイアンツは2連勝、「世界一」に向けてこれ以上ないスタートを切りました。この調子だと、もしワールドシリーズが第6戦、第7戦にもつれこんだら、この男性は再び招待されるかも知れませんね。うらやましい限りです!私たちは日本で与田剛さんの解説で観戦しましょう。


2012年10月24日水曜日

ハンター・ペンスの奇跡のバットと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ナショナルリーグ優勝シリーズで起こった信じられない出来事について。

サンフランシスコ・ジャイアンツとセントルイス・カージナルスがともに3勝3敗で迎えたリーグチャンピオンシップ最終戦、舞台はジャイアンツの本拠地AT&Tパーク。ジャイアンツが2対0とリードして迎えた3回ウラのことでした。無死満塁とジャイアンツ追加点の絶好のチャンス、マウンドにはカージナルス2人目のジョー・ケリー、打席には五番ハンター・ペンス。ケリーの投じた初球、150km/hのハードシンカーをペンスがフルスイングすると、バットはボールをとらえたものの真っ二つ。しかし打球はショートの右を抜け、センターのジョン・ジェイが捕球しそこねてまごつく間に走者3人が全員生還、試合の趨勢を決定づける3点二塁打となりました。

少し後、このペンスのスイングが超スローモーションで再生されて大変なことが分かりました。最初にボールが当たってバットが折れ、この折れたバットが二度ボールに触れていたのです。なんと「三度打ち」。これによって打球のコースが変わったのでした。

この打球そのものはそれほど強くなく、本来ならばカージナルスのピーター・コズマ遊撃手が難なく捕球できていたでしょう。なぜ捕球できなかったのか?それは「一打目」に反応してコズマがサード側に一歩踏み出してしまい、「二・三打目」でコースがセンター寄りに変わったため、打球に反応できなかったのです(当初はイレギュラーバウンドしたと報じられていました)。コズマがサード側に体重をかけていなければ、うまくいけば6-4-3のダブルプレー、1点は入っても二死三塁となって、まだまだカージナルスに反撃の余地は残されていた可能性があります。これが勝負運というものでしょうか。序盤だったとはいえ、3点の追加でカージナルスの反撃の機運が大きく殺がれたことは否定できません。

さて、この奇跡の「三度打ち」バットはどうなったのでしょう?折れたバットはペンスに放り投げられた後、三塁走者の本塁突入に備えて主審によけられ、そしてAT&Tパークの球場職員によってグラウンドの外に運び出されました。そしてなんと、すぐさまジャイアンツの使用済みグッズショップで販売されてしまったというのです。折れたとはいえタイムリー二塁打を生み出したそのバットは150$(約1万2千円)の値が付けられ、名も知れぬファンのお土産となったのでした。超スロービデオによって「三度打ち」が判明したのはその後のこと。

今、ジャイアンツはこのバットを購入した人に「ぜひ買い戻させてほしい」と呼びかけています。場合によってはクーパースタウンの殿堂に飾られてもおかしくないこの奇跡のバット、はたしてジャイアンツに帰ってくるでしょうか。与田剛さんも気になるでしょう。


2012年10月22日月曜日

ジャイアンツの驚異の粘り強さと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、最終戦までもつれこんだナショナルリーグのリーグチャンピオンシップシリーズ。

地区シリーズを勝ち上がってきたサンフランシスコ・ジャイアンツとセントルイス・カージナルス。一枚上手の試合運びでワシントン・ナショナルズを圧倒したカージナルスに対し、ジャイアンツは地区シリーズで2連敗の後3連勝して勝ち上がり、リーグ優勝シリーズも1勝3敗と王手をかけられてから2連勝してタイに持ち込みました。「もう一敗もできない」状態で5連勝、逆に言えば対戦相手は「あと1勝」が奪えないという驚異的な粘り強さを発揮しています。

ジャイアンツ1勝3敗で迎えた第5戦、ジャイアンツの先発はベテランのバリー・ジト。オークランド・アスレチックスから7年1億2600万ドルの大型契約で移籍してきましたが、オークランドでの7年間で102勝をあげた左腕は、ジャイアンツの6年間でまだ58勝。その突然の劣化ぶりから史上最悪の移籍と揶揄されながらも、今年はジャイアンツ移籍後初めて15勝をマーク。とはいえシンシナチ・レッズ相手の地区シリーズでは2回3分の2でノックアウトされるなど、どこか信用できない印象を残してはいました。そんな中で先発のマウンドに上がった第5戦、ジトはここ数年で最高のピッチングを披露します。「12時から6時に落ちる」と言われるメジャー屈指のカーブが冴えわたり7回3分の2を無失点。打線も5点を取って危なげなくカージナルスを下しました。

続く第6戦はジャイアンツの本拠地AT&Tパークに舞台を移します。先発右腕ライアン・ボーグルソンは第2戦と同じく7イニング1失点と堂々のクオリティスタートで、このシリーズ2勝目。カージナルスは今度は1点しか取れず、打線が一気に湿ってしまった感があります。

短期決戦にはラッキーボーイが出現するものですが、ジャイアンツのマルコ・スクータロ二塁手がまさにそう。スクータロは第2戦の守備で走者と交錯して途中退場するなどベンチをひやりとさせましたが、その後はフル出場し安打を量産、随所に攻守も見せながらシリーズ打率は4割超をマークしています。本来活躍しているはずの四番バスター・ポージーが徹底マークにあい打率1割台と低迷しているものの、早い回に二番のスクータロが出塁し、三番「パンダ」ことパブロ・サンドバルが返すのがここのところの勝ちパターン。もしジャイアンツが優勝すれば、MVPはスクータロ、サンドバル、ボーグルソンで票が分かれそうです。

ここ2試合、先発が早い回でノックアウトされているカージナルスですが、ブルペンはまずまず元気。中継ぎの22歳、トレバー・ローゼンタール投手は速球を小気味良くビシビシ投げ込み、今ポストシーズン6試合登板してまだ無失点(与田剛さんもリリーフ投手でした)。初の大舞台で如何なく実力を発揮しています。

さあ明日、泣いても笑ってもリーグチャンピオンシップ最後の試合。勢いに乗るジャイアンツがこのまま押し切るか、昨年ワールドシリーズ優勝の試合巧者カージナルスが逆襲するか。どちらが勝つにせよ、好試合になることは間違いないでしょう。与田剛さんと注目しましょう。


2012年10月20日土曜日

メジャーのラフプレーと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、メジャーリーグの危険なプレーについて。

熱戦が展開されているメジャーのプレーオフですが、セントルイス・カージナルス対サンフランシスコ・ジャイアンツのリーグ優勝決定シリーズ第2戦で、ひやっとさせられるプレーがありました。1回表カージナルスの攻撃、一死一二塁。ライアン・ボーグルソン投手の投げた変化球をアレン・クレイグが引っかけてイージーなショートゴロ。ダブルプレーを狙ったブランドン・クロフォード遊撃手は素早くマルコ・スクータロ二塁手に送球します。しかし一塁走者マット・ホリデイは、捕球して一塁に転送しようとしたスクータロに体当たりするかのようにスライディング。二人はからみあったまま転倒。スクータロの一塁送球は勢いを殺され、クレイグは一塁セーフとなりました。

「ダブルプレー崩し」のスライディングは一つの技術ですが、今回のホリデイは最初から二塁ベースではなくスクータロの体をめがけて突っ込んでおり、米国のスポーツニュースでも「やりすぎではないか」という解説者もいました。ランナーはまっすぐ相手に向かって走りこむだけですが、ダブルプレーを完成させようとする二塁手はボールを受け、ベースを踏み、一塁に送球する動作を行わねばならず、しかもボールを受けて振り向くまでランナーが見えないのです。体重100kgもある走者がぶつかる衝撃は、小さな車にはねられるのと同程度。受け身を取れない中途半端な姿勢でそれを受けたら、場合によってはとんでもない事態になりかねません。

このプレーを見て、多くのジャイアンツファンは昨年のフロリダ・マーリンズ戦でバスター・ポージー捕手が負傷したプレーを思い出したはずです。ジャイアンツの正捕手であるポージーは、昨年本塁上のクロスプレーで左下腿の腓骨骨折と左足首靱帯断裂という大けがを負わされました。このプレー、三塁ランナーのスコット・カズンズは外野フライが捕球されるとともにタッチアップ、外野からの返球が十分に捕球できていない態勢のポージーにタックルする形となり、ポージーはボールごと吹き飛ばされてしまったのでした(本塁もセーフ)。

ポージーは昨季その後の試合を全休、報道によっては選手生命の危機とまで書かれましたが、じっくりリハビリに務めて今季開幕から復帰、打率.336で見事にナショナルリーグ首位打者に輝きカムバック賞にも選出されました。とりあえず胸をなでおろしたところにスクータロが倒される激しいプレーですから、ファンもいい加減にしろと言いたいところでしょう。(スクータロはその試合を途中で退場しますが大事には至らず、次の試合に出場しました)。

これらのプレーには、意外にも選手たちはあっさりしています。ポージーの件では「同じ状況なら自分も同じスライディングをするだろう」と言ったジャイアンツの選手もいたほどで、こういった衝突も含めてメジャーリーグということなのでしょう。ただし、必要以上のラフプレーは「報復」されるのもまたメジャー。危険なプレーで自軍のチームメイトを傷つけた相手には、投手が次の打席で投球をわざとぶつけるという「不文律」もあります。

とはいえ、ホリデイにこのプレーオフでわざとぶつけるジャイアンツの投手はいません。報復死球は当然ルール違反、短期決戦の中で退場させられたり出場停止になるわけにはいかないからです。そういうわけで、おそらくホリデイは来季の最初のジャイアンツ戦でぶつけられるだろうというのがメジャー通の見方。ジャイアンツ投手陣は「首を洗って待っていろ」という気分かも知れません。与田剛さんならどのように解説するでしょうか。

2012年10月17日水曜日

短期決戦の難しさと与田剛


皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、熱戦が繰り広げられているMLBプレーオフの話題。

メジャーリーグのプレーオフは、今年から導入されたワイルドカードゲームが1試合、地区シリーズは5試合、リーグ優勝シリーズは7試合、そしてワールドシリーズが7試合。ワイルドカードゲームが以外は、いずれも半数以上に勝利すれば生き残れる苛酷なレースです。半年間続くレギュラーシーズンがマラソンなら、プレーオフは100m走が3回あるようなもの。しかも負け越した瞬間そのチームは「シーズン終了」になるのですから、明日を考えて余力を残すことはできません。むしろ、なりふり構わず勝ちに行くという、死力を尽くしての戦いを続ける期間になります。熱戦が続くのは必然、選手たちにとってはおそらく1ヶ月でレギュラーシーズン分疲れるでしょうが、ファンにとってはこたえられない1ヶ月になるわけです。

そんなプレーオフで勝つためにもっとも重要なことは、選手の調子を見極めること。調子が悪ければエースや四番打者でもベンチに下げ、逆に調子が良い選手はたとえ新人でもクリーンナップを打たせる、そういった思い切った采配が見られるのも10月のメジャーリーグの醍醐味です。たとえば、今プレーオフでのニューヨーク・ヤンキースの「打てなさ」ぶりは目を覆うばかりですが、とくに不振を極めているA-Rodことアレックス・ロドリゲスは、リーグ優勝シリーズのデトロイト・タイガースの第1戦、9回の同点のチャンスになんと代打を送られ、翌日はベンチスタートとなってしまいました(逆に代打に出たラウル・イバネスは神がかり的な同点ホームラン!翌日は四番を任されました)。首位打者、本塁打王、打点王、MVPも経験したスーパースターのプライドを考えればレギュラーシーズン中は考えられないことですが、監督は何より「今日の勝利」にこだわったのです。その試合は惜しくも敗れてしまいましたが。

対するタイガースは、クローザーのホゼ・バルベルデの不調が大誤算。シーズン35セーブをあげているものの、9月だけを見れば防御率は4点台と明らかに調子を落としてきており、ポストシーズンに入ってからも何度も失点を繰り返しました。とどめは前述のイバネスの代打ホームラン。劇的弾を打たれたのはこのバルベルデ。不調の守護神を何とか蘇らせたいとタイガースの名将ジム・リーランド監督は考えたのかもしれませんが、結果はまったく裏目に出ました。おそらく今後タイガースが勝ち上がっても、バルベルデが点差の均衡したゲームで登板することはないでしょう。

打者に比べれば投手、それもクローザーにとって、プレーオフは選手生命まで縮めかねない大変な期間です。過去のプレーオフを見ると、大事な試合でセーブに失敗したクローザーが立ち直れないまま消えていった例は少なくありません。たとえば1993年フィラデルフィア・フィリーズのミッチ・ウィリアムスは、トロント・ブルージェイズとのワールドシリーズで2試合続けて逆転を許し、ファンからの批判が殺到。オフにトレードでフィリーズを去りますが、その後、剛腕の復活を見せることなく引退していきました。2001年アリゾナ・ダイヤモンドバックスのキム・ビュンヒュンはアンダースローから150km/h近い浮き上がる速球を投げましたが(与田剛さんもクローザーで、157km/hを記録しました)、彼もまたワールドシリーズのヤンキース戦で2試合続けてリリーフに失敗。その後は先発に転向したり、日本の楽天ゴールデンイーグルスにも入団しましたが、打者を圧倒したあの球威を取り戻すことはありませんでした。

プレーオフはとてつもない注目度とプレッシャーの中での戦いだけに、敗れたチーム、活躍できなかった選手のダメージも相当なもの。今季レギュラーシーズン最後の試合で負けて優勝を逃し、ワイルドカードゲームでもあっけなく敗れたテキサス・レンジャースは、打てなかったばかりか外野フライを落球するという信じられないエラーを犯したジョシュ・ハミルトン外野手が「戦犯」にあげられており、FA資格を得ることもあって退団が噂されています。たった一度のエラー、一球の失投のペナルティとしてはあまりにも厳しいですが、それが世界最高峰のリーグで戦うということなのでしょう。与田剛さんの解説で観戦すると楽しさも倍増です。


2012年10月14日日曜日

デレク・ジーターの快挙と悲劇と与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、ニューヨーク・ヤンキースの主将デレク・ジーターについて。

デトロイト・タイガースをヤンキースタジアムに迎えてのアメリカンリーグ優勝決定シリーズ第1戦。タイガースの4対0のリードで迎えた9回裏、ヤンキースは地区シリーズ第3戦で見せた驚異的な粘りを再び発揮します。ランナーを1人おいてまずイチローがライトスタンドにポストシーズン第1号2ラン。2点差。さらにランナーが1人出たところで打席には「奇跡の仕事人」ラウル・イバネス、まさかと思われましたがなんと!またしてもライトに同点本塁打を叩き込んだのでした。雰囲気はこのままヤンキースが逆転サヨナラするかと思われましたが、タイガースが延長12回表に勝ち越し、その裏を抑えてまず第1戦をとりました。

この試合で、ヤンキースは1敗以上の大きなものを失いました。12回表1死2塁、タイガースのジョニー・ペラルタの遊撃右のゴロをさばいたデレク・ジーターが右足をひねって転倒、最初は足がもつれただけかと思われましたが、彼が苦痛に顔を歪め、自分で立ち上がれない姿を見て観衆も声を失いました。すぐにジョー・ジラルディ監督とトレーナーが駆けつけ、ジーターは2人に肩を借りて退場、その後に足首の骨折という最悪のニュースが発表されたのでした。

同じ試合の中で、ジーターはポストシーズン200安打という前人未到の大記録を達成していました。すでに通算安打数では2位のバーニー・ウィリアムズに70本以上の差をつけて1位を独走していますが、2回にタイガース先発ダグ・フィスターから大台に乗せるライト前ヒット。ヤンキースがワールドシリーズまで勝ち進めばあと10本くらいは上乗せできそうなペースでしたが、快挙のわずか3時間半後にジーターのシーズンが終わってしまうとは、そのとき誰も予想だにしなかったでしょう。

ジーターは今季38歳にしてレギュラーシーズンで3割、200安打をクリア。ポストシーズンもペースを落とすことなくここまで3割を打ってきました。そればかりでなくヤンキースの主将としてコーチやチームメイトの人望も厚く、間違いなくチームの戦略の軸となる人物です。試合後、この日本塁打を打ったイチローが「今日は勘弁して」とコメントを避けたことからもショックの大きさが想像できます。精神的支柱を失ったヤンキースが逆に団結して巻き返すか、このまま敗退するのか、与田剛さんと一緒に注目しましょう。



2012年10月13日土曜日

日本つながりの選手で楽しむMLBプレーオフと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、MLBのプレーオフ出場チームの中から日本とつながりのある選手を紹介します。

今年、メジャーリーグのプレーオフに出場した日本人選手はニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹投手、イチロー外野手、そしてテキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手、上原浩司投手。最近は日本人選手がプレーオフに出場するのが当たり前になったような感もありますが、これに「日本になんらかのゆかりのある選手」を加えるともっと多数になり、親しみも増して、観戦を楽しめるのではないでしょうか。

とりあえずリーグ優勝シリーズに残ったチームを見ると、ナ・リーグはサンフランシスコ・ジャイアンツのライアン・ボーグルソン投手。ボーグルソンは阪神タイガースで2年、オリックス・バファローズで1年プレーしました。成績は3年間の合計で11勝14敗と今ひとつでしたが、帰国後にジャイアンツで花開きます。2年連続13勝以上と立派にローテーションの一角を守っているほか、今回の地区シリーズではレッズに2連敗後の崖っぷちで先発して5回を1点に押さえる好投を見せました。

ア・リーグ、デトロイト・タイガースのプリンス・フィルダー一塁手は、阪神タイガースで1989年にプレーしたセシル・フィルダー一塁手の息子。当然その間は日本に住み、甲子園球場にも出入りしていました。お父さんは一年でメジャーに復帰し、タイガースで2年連続ホームラン王に輝き、その後はヤンキースでもプレーしました。今ビデオを見比べると、親子ともども巨漢ですが、お父さんのほうが背が高いですね。ちなみに「フィルダー」の表記は本来の英語発音が「フィールダー」であるものの、日本語で書いたときに間延びして見えるということで球団が縮めた形で登録したのだとか。その呼び方が息子にも流用されているというのも面白いものですね。

さて、すでに敗退してしまったチームにも日本にゆかりのある選手はいます。ボルチモア・オリオールズのルー・フォード外野手は2008年に阪神に所属しました。なんだか阪神に在籍した選手はメジャー復帰して活躍している選手が多いですね(与田剛さんも最後に所属したのは阪神で今はMLB解説者です)。しかしフォードは阪神在籍時は岡田監督にプレーを酷評されるなど、ほとんど実績を残せませんでした。帰国後はマイナーリーグや独立リーグでプレーしていましたが、今年オリオールズと契約して7月に5年ぶりにメジャー復帰。出場試合は少ないものの勝負強いバッティングでプレーオフメンバーに選ばれ、4試合に出場して打率3割、打点1をあげました。オリオールズにはもう一人、チェン・ウェインという日本経験者がいます。チェンは昨年まで中日ドラゴンズに在籍しましたから、知っている方も多いでしょう。

最後は選手ではありませんが、ワシントン・ナショナルズのデイビー・ジョンソン監督。ジョンソンも日本でプレー経験はあるのですが、1975年と76年ですからもう35年以上も前。若い方はフィルダーの(お父さんの)名前は覚えていてもジョンソンに関しては「そんな人もいたの?」という感じでしょうか。ジョンソンは長嶋茂雄氏が監督一年目の読売ジャイアンツに入団。来日前、メジャーではオリオールズで新人王獲得、アトランタ・ブレーブスで当時二塁手として最多の43本塁打を放つなど、日本のプロ野球に初めてやってきた「バリバリ現役のメジャーリーガー」でした。しかし日本の野球になかなか適応できず、一年目は打率1割台、2年目にようやく打率.275、26本塁打を記録しますが、本来の実力を発揮したとはとても言えないものでした。引退後は監督として手腕を発揮、1986年に「ミラクル・メッツ」と呼ばれたニューヨーク・メッツをワールドシリーズ優勝に導き、1995年はシンシナティ・レッズ、1997年はオリオールズで地区優勝を果たします。そして2011年途中から指揮を執っているナショナルズは今季地区優勝、メジャー以外でも2009年WBCのアメリカチームの監督も務めるなどメジャー指折りの名監督として評価されています。

こういった選手や監督に注目しながら残りのプレーオフを楽しむのはいかがでしょうか。与田剛さんの解説なら最高です。


2012年10月12日金曜日

すべて第5戦までもつれた地区シリーズと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、熱戦が続くメジャーリーグのポストシーズンの途中経過をお伝えします。

今年のプレーオフは面白い!と、ほとんどのMLBファンが思っていることでしょう。なんといってもスイープ(どちらか一方のチームが負けなしで勝ち上がること)がありません。地区シリーズは5回戦で3勝したら勝ち抜けですが、緒戦、第2戦と連勝したチームはそのまま3戦めも勝つことが多く、短期決戦で勢いに乗ったチームを止めるのは至難の業。しかし、今年は違いました。ナショナルリーグ、シンシナティ・レッズ対サンフランシスコ・ジャイアンツはレッズがまず2連勝、しかし土俵際からジャイアンツが3連勝して大逆転。第5戦では今年大ケガから復帰した若き主砲バスター・ポージーが満塁本塁打を叩きこむ大活躍で、リーグチャンピオンシップ一番乗りを決めました。両チームの勝利がすべて敵地主催ゲームという珍しい記録も生まれました。

アメリカンリーグ、デトロイト・タイガース対オークランド・アスレチックスはタイガースが2連勝したものの、アスレチックスが2連勝でタイに持ち込みます。第4戦はアスレチックス打線が9回裏にタイガースの守護神ホゼ・バルエルデを打ち込んで2点差を一気にひっくり返してサヨナラ勝ち。レギュラーシーズン最終カード、テキサス・レンジャース相手に奇跡の3連勝を果たした勢いの再来かと思われましたが、第5戦はタイガースのエース、ジャスティン・バーランダーが4安打完封の仁王立ち。大試合に弱いと言われたバーランダー、今年は大丈夫なようです。それよりクローザーのバルベルデが今後使えるのか?心配です・・・。

残る枠は各リーグ1チームずつですが、ア・リーグのニューヨーク・ヤンキース対ボルチモア・オリオールズ、ナ・リーグのセントルイス・カージナルス対ワシントン・ナショナルズはともに2勝2敗で5戦目に勝負は持ち越されています(カージナルス対ナショナルズは与田剛さんの解説でした)。それにしても、第3戦のヤンキースは神がかり的でした。9回裏、不振のA-Rodことアレックス・ロドリゲスに代えてジョー・ジラルディ監督がラウル・イバネスを打席に送ると、守護神ジム・ジョンソンから見事同点ホームラン。そして12回には同じイバネスが今度は左腕ブライアン・マティスからサヨナラホームランを放つ離れ業。2本のホームランはいずれも初球を叩いたもので、わずか2球で試合を決めた仕事人ぶりは今後も伝説として語り継がれることでしょう。そしてこちらもクローザーが不振、第5戦でオリオールズはジョンソンを使えるのでしょうか。

さあ、リーグチャンピオンシップに勝ち残るのはどこか。日本人としてはやはり黒田、イチローのいるヤンキースを応援したいところ。与田剛さんの解説で楽しみたいものです。


2012年10月9日火曜日

与田剛さん、WBCコーチに決定!

いつもはMLBの話題を書いているこのブログですが、今日は私が大ファンの与田剛さんのニュースです。来年開催されるWBC(ワールドベースボールクラシック)の日本チームのコーチに与田剛さんが決定しました。

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来年3月の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンに、与田剛氏(46=元阪神)と緒方耕一氏(44=元巨人)が入閣することが8日、分かった。与田氏、緒方氏ともに前回09年のWBCでもコーチを務め、監督就任が決まっている山本浩二氏(65)の指揮下で、その経験を3連覇に向けて生かすことになる。    

「山本浩二ジャパン」の全容が出そろった。与田氏は前回大会でブルペンを担当。選手とベンチとのパイプ役として投手陣の奮闘を支えた。今回も投手コーチに就任する。解説者としてのメジャー取材の経験も豊富で、その知識も侍ジャパンには不可欠といえる。今回は東尾修氏とのコンビとなるが、再びブルペンを担当することになる。
(ニッカンスポーツ)

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元阪神とありますが、ファンの記憶の中の与田剛さんは中日ドラゴンズのクローザー。最後に所属したチームが書かれる新聞社のルールなので仕方ありませんが。

いずれにせよ、前回大会でも侍ジャパンのブルペンを預かった与田剛さんが、今回もコーチとして参加するとは心強いですね。何よりメジャー取材で選手や球場の知識が豊富です。現代の野球は情報戦ですから、与田剛さんの存在は何より大きいはず。来年の春が待ち遠しいですね!

2012年10月8日月曜日

A'sのユニフォームの小さなワッペンと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、現在プレーオフを戦っているオークランド・アスレチックスのユニフォームの右袖についている小さなワッペンについて。

黒い布の上に白地で「GJN」と書かれたこのワッペンは、実は喪章。先日亡くなってしまったアスレチックスのパット・ネシェク投手の息子のイニシアルを表しています。MLBチームがユニフォームにこのようなワッペンをつけるのは特に珍しいことではなく、2010年のニューヨーク・ヤンキースなど、同年亡くなったラルフ・ホーク元監督、ジョージ・スタインブレナー元オーナー、そしてヤンキースタジアムのアナウンサーであったボブ・シェパード氏の3つの喪章をつけてシーズン終了までプレーしたことがあるくらいです。

詳細は発表されていませんが、ネシェク投手とステファニー夫人の第一子は、アスレチックスがテキサス・レンジャースと地区優勝をかけて戦っていたさなかの10月2日に誕生。ネシェクはわが子をメジャーリーグの名選手にあやかった「ゲーリッグ・ジョン」と名づけますが、しかしその子は生後わずか23時間でこの世を去ってしまいます。

しばしば日本でも話題になりますが、家族の誕生や死去といった出来事があれば、メジャーリーガーは(監督やコーチも含め)どんなに大事な試合があろうと家庭を優先します。もうずいぶん前の話ですが、日本のプロ野球チームに所属したアメリカ人選手が息子の手術のために試合を休んだところ、大事な試合を放棄したと非難されたことがありました。家族を大事に思う気持ちは日本人も同じでしょうが、仕事と違って家庭に自分の代役はいない、家族のためにすべてをなげうっても尽くすという感覚には、日米の差は大きいように思えます。

家族を失った悲劇の直後、選手は仕事を休んでも非難されることはないでしょう。しかし、ネシェクはプレーオフを戦うためにチームに戻りました。アスレチックスは彼の息子の死を悼んで、喪章を袖に着けて試合に臨んでいるのです。そしてデトロイト・タイガースとのプレーオフ第一戦、7回のピンチに登板したネシェクは、見事に2人の打者を打ち取ってタイガースの追加点を阻止。オースティン・ジャクソンを三振にとってベンチに小走りに帰るとき、ネシェクは左手で右肩の喪章をポンポンと数回たたきました。それが何を意味しているかを理解している満員の観衆は、ネシェクに惜しみない拍手を贈ったのでした。

ところで、ネシェクはメジャーでは珍しいアンダースローの投手。今季は24試合に登板して防御率1.37と活躍しました。プレーオフはまだまだ続きます。ぜひ与田剛さんの解説でワールドシリーズで投げるところを見てみたいものです。



2012年10月7日日曜日

チッパー・ジョーンズ最後の試合と与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今季限りで引退するアトランタ・ブレーブスのチッパー・ジョーンズ三塁手です。

昨日行われたナショナル・リーグのワイルドカードゲーム。今季から2枠になったワイルドカードのチームの対戦が1試合だけ行われ、勝者が地区優勝チームと対戦するトーナメントに残れるという、まさにサドンデスの戦いです。今季のナ・リーグのワイルドカードはブレーブスとセントルイス・カージナルス。今年のブレーブスはいつにも増して気合が入っていました。なんといっても、20年間ブレーブス一筋に活躍してきたジョーンズの最後のシーズンなのです。負ければジョーンズ最後の試合となるだけに、一試合でも、一打席でも多くジョーンズの雄姿を目の前で見たいとファンもチームメイトも願っていました。

しかし、試合はジョーンズにとってほろ苦いものとなりました。ジョーンズは4回の守備で強いサードゴロを好捕したものの二塁に悪送球。点差を広げられるきっかけを作ってしまい、また思いもよらぬインフィールドフライの「疑惑の判定」もあってブレーブスが後味の悪い敗戦を喫してしまいます。

あっけなく試合は終わってしまいましたが、ジョーンズの最後の打席は感動的でした。3点差で9回裏ツーアウト走者なし。もう試合はほぼ決まっていたとはいえ、すべての観衆がスタンディングオベーションで自分たちの英雄を打席に迎えたのです。ある者はブレーブスの応援グッズである「トマホークチョップ」を振り、ある者はハンカチを振り、ある者は手書きのメッセージボードを掲げました。普段ならスター選手が登場するとカメラのフラッシュがあちこちで光るものですが、このときはそれがありませんでした。ほとんどの観客が拍手を贈っていたからです。ジョーンズはヘルメットを片手で取って少し照れたように伏せ目がちに高く掲げ左打席に入りました。

マウンドにはカージナルスの守護神ジェイソン・モット。ジョーンズはカウント2-2から150km/hの速球を打ち返します。センター前に抜けるかと思われた打球は二塁手が俊敏な動きでキャッチして一塁にジャンピングスロー。タイミング的にはアウトでしたが、一塁手の足が一瞬ベースを離れ、内野安打に。これが、ジョーンズ最後の打席、最後のヒットでした。

ジョーンズの名前が日本でも知られたのは、1995年、メジャーで旋風を巻き起こした野茂秀雄投手の新人王のライバルとして紹介されたときでしょう(与田剛さんも日本で新人王を獲りましたね)。結局新人王は野茂に譲ることになりましたが、ジョーンズは野茂よりもずっと長くメジャーで活躍することになりました。1999年にMVPを獲得、この年「打率3割・40二塁打・40本塁打・100四球・20盗塁」を史上初めて達成、2008年には首位打者に輝きました(シーズン記録はいずれもナ・リーグ)。通算468本塁打はスイッチヒッターとしてミッキー・マントル、エディ・マレーに続く3位。しかし終身打率が3割を超えているのはジョーンズ一人です。引退後の「殿堂入り」、そして背番号10がブレーブスの永久欠番になることはほぼ間違いないでしょう。

ひとつのチームでキャリアを終える選手がほとんどいなくなったMLB。ジョーンズの引退後はニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーターが最後の一人になるのではないかと言われています。実力ある選手ほど移籍する可能性が高いのがプロの世界ですが、ファンはできればいつまでも同じチームにいてほしいと思うもの。ジョーンズの引退にアトランタばかりでなくすべての野球ファンからねぎらいの声が寄せられているのを見るとそんな気がします。与田剛さんはどのような感想をもつでしょうか。

2012年10月6日土曜日

アメリカン・リーグのドラマチックな幕切れと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、今季最終戦で2地区の優勝が決まったアメリカン・リーグの話題です。

昨年も最後の一日で優勝が決まる大興奮のシーズンでしたが、今年もまたそれをしのぐようなドラマが待っていました。与田剛さんも手に汗を握って観戦したことでしょう。

プレーオフ進出チームが一足早く出そろったナショナル・リーグに対して、最後の最後まで優勝が決まらなかったアメリカン・リーグ。残り数試合を残した段階で、東地区は首位を走っていたニューヨーク・ヤンキースにようやくボルチモア・オリオールズが勝敗数でならび、同率首位に。西地区はほぼデトロイト・タイガースが首位を固めて安泰になってはいましたが、ミゲル・カブレラが45年ぶりに三冠王になるかどうかが注目を集め、そして西地区は春先に2位に13ゲームの差をつけて独走態勢にあったテキサス・レンジャースをオークランド・アスレチックスが猛追。直接対決となる最後の3連戦で、レンジャースは一つ勝てば優勝、アスレチックスは3連勝すれば優勝という、これ以上ない舞台設定となりました。そして最終的に、シーズン最終戦でヤンキースとアスレチックスが地区優勝を決め、カブレラは見事に三冠王に輝いたのです。

ヤンキースとオリオールズは直接対決がなかったため、最終戦のボストン・レッドソックスとの試合中にオリオールズが敗れ、ヤンキース優勝(ちなみこの試合は先発投手がヤンキース黒田博樹、レッドソックス松坂大輔という日本人対決、解説は与田剛さんでした)。今季途中から移籍してきたイチローは11年ぶりのシャンパンファイトを体験。とはいえ、地区優勝くらいでは大げさに騒がないのがヤンキースらしいと言えるでしょうか。

レンジャース対アスレチックスの3連戦はとんでもない結末となりました。すでにどのような結果になろうとも両チームともプレーオフ進出は決まっていましたが、今季からワイルドカードが2チームになり、その2チームで1試合だけの対戦をしなければなりません。その間、地区優勝チームはゆっくり休養して勝者が決まるのを待っていられるわけですから、優勝とワイルドカードでは天と地ほど差があると言っても良いくらいです。アスレチックス戦の前のロサンゼルス・エンゼルス戦、第2戦で先発ダルビッシュ有投手が好投したものの救援陣が打たれ、勝ち試合を落としてしまったレンジャース。今思えばこの負けが、何勝にも値するほど重いものになってしまいました。かたや、シアトル・マリナーズ3連戦を3連勝してレンジャースを待っていたアスレチックス。勢いの差は歴然でした。

この時点でもレンジャースは「あと一つ勝てば優勝」と数字的には優位に立っていました、しかし、その一つをどうしても取ることができません。象徴的だったのが2連敗して迎えた最終戦、序盤リードしながらジョシュ・ハミルトン外野手がフライを落球するという信じられないエラー。これで逆転を許し、結局アスレチックスは点差を広げて余裕の勝利。今季初めて首位に立った日が最終日で、そのまま優勝決定というドラマのような幕切れでした。前回も書きましたが、アスレチックスの年俸総額はメジャー最低、ヤンキースの約4分の1です。主力選手をオフに放出し、ほとんど無名の新人ばかりの格安集団が地区優勝を飾るという、まさに「マネーボール」でチームスポーツの醍醐味を堪能させてくれました。

今日からプレーオフ。優勝を逃して意気消沈したレンジャースがいかにオリオールズと戦うか。先発は後半エース級の働きをしたダルビッシュ。与田剛さんの解説で見てみたいものです。