すべての始まりは、マイアミ・マーリンズの「ファイアーセール」でした。もう何度も書いていますので詳しくは書きませんが、メジャー史に残るであろう「たった一年でレギュラー選手ほぼ全員放出」をやってのけたマーリンズ。しかしこのことは、他チームにとっては有力選手を獲得できるまたとない機会でもあったわけです。そして、その恩恵にもっとも浴したのがトロント・ブルージェイズでした。
ブルージェイズがマーリンズから獲得したのはエース右腕のジョシュ・ジョンソン投手、二番手左腕のマーク・バーリー投手、昨年のナショナルリーグ首位打者ホセ・レイエス遊撃手、同じく昨年リーグ盗塁数2位でどこでも守れるエミリオ・ボニファシオ内野手、ジョン・バック捕手(バックはその後ニューヨーク・メッツにトレード)。ブルージェイズがこのスターの詰め合わせを得るために出した選手は今シーズン9勝14敗のヘンダーソン・アルバレス投手と打率.253のユネル・エスコバー内野手、あとはマイナーの若手選手。マーリンズにとってはただ年俸総額を削るためだけの大放出、ブルージェイズにとってはエビで鯛を釣る以上の大収穫でした。
もともとブルージェイズはホセ・バティスタ、エドウィン・エンカーナシオンという本塁打王を狙える長距離砲を有しています。彼らをそのままに、マーリンズから主軸投手2人とスピードのあるキーストンコンビを獲得してもう十分かと思ったら、今季サンフランシスコ・ジャイアンツで禁止薬物によりシーズン途中で謹慎させられたメルキー・カブレラ外野手を獲得。今シーズンのカブレラはオールスターでMVPに輝き、謹慎までは首位打者を狙える打率をマークするなど絶好調。来シーズンもこの調子が続くなら脅威です。
さすがにこれで打ち止めだろうと多くのファンが一息ついたところに、ブルージェイズはもう一つ大型トレードを仕掛けます。なんと今シーズンのナ・リーグのサイ・ヤング賞投手、20勝をあげて奪三振王も獲得したナックルボーラー・R.A.ディッキーとディッキー専用捕手ジョシュ・トーリをメッツから獲得。さすがに「もらってばかりでは悪い」と思ったのか、代償としてメジャー全体でも高く評価されるスター候補生トラビス・ダーノー捕手とノア・シンダーガード投手を放出したのでした。
ここまでのブルージェイズの獲得選手、残留選手を整理すると、来シーズンのオーダーはこんな感じでしょうか(★は新加入、☆は残留)。
★先発投手 R.A.ディッキー
★先発投手 ジョシュ・ジョンソン
★先発投手 マーク・バーリー
☆先発投手 ブランドン・モロー
☆先発投手 リッキー・ロメロ
☆救援投手 ケイシー・ジャンセン
☆捕手 J.P.アレンシビア
☆一塁手 アダム・リンド
★二塁手 エミリオ・ボニファシオ
☆三塁手 ブレット・ローリー
★遊撃手 ホセ・レイエス
★左翼手 メルキー・カブレラ
☆中堅手 コルビー・ラスムス
☆右翼手 ホセ・バティスタ
☆指名打者 エドウィン・エンカーナシオン
先発の3本柱は盤石、クローザー(与田剛さんもクローザーでした)は22セーブのジャンセンが残り、攻撃は長打力とスピードの両方を兼ね備え、守備もまずまずのレベルです(投手のバーリーはゴールドグラブ4回)。
ブルージェイズは今シーズン、アメリカンリーグ東地区4位でした。最下位は免れましたが優勝争いは完全にカヤの外。この凄まじい補強を見る限り、来シーズンは本気で優勝を狙いに来ているのは間違いないでしょう。悪くてもプレーオフ進出はノルマといったところでしょうか。ここまで駒を揃えてもらって、ジョン・ギボンズ監督には優勝のプレッシャーが強くのしかかっているに違いありません。WBCの日本代表チームで各チームのエースを預かる与田剛さんも、同じ気持ちかも知れませんね。
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