2012年12月15日土曜日

波乱万丈人生のジョシュ・ハミルトンと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、テキサス・レンジャースからFAとなり、先日ロサンゼルス・エンゼルスとの契約合意が報道されたジョシュ・ハミルトン外野手。

ようやく決まりました。今オフのFAの最大の目玉と言われたハミルトンですが、最終的にエンゼルスと契約する模様です。5年総額1億2500万ドル、一年あたりの平均年俸は2500万ドルで、野手ではニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスに次ぐ史上二位。昨年はMVP3回のアルバート・プホルスを獲得したエンゼルスが、今度は同じアメリカンリーグ西地区のレンジャースから2010年のMVPを引き抜くことに成功しました。このオフはそれほど動いていないエンゼルスですが、来シーズン、新人王マイク・トラウトにプホルス、ハミルトンが並ぶ上位打線はア・リーグ最強と言って良いかも知れません。

ハミルトンはプロ入り前からメジャー球団のスカウトに史上最高レベルの評価を受けていました。非凡な打撃・守備に加え、投手としても154km/hの速球を投げるなど(与田剛さんは157km/hを投げたことがあります)、野手としての5ツールに投手の能力も加えた8ツールプレイヤーと賞賛され、全米最優秀高校生選手に輝きます。1999年のドラフトでは当然のように全米1位指名を受けてタンパベイ・デビルレイズに入団。マイナーで前評判通りの能力を見せ、USAトゥデイの2000年度マイナーリーグ年間最優秀選手賞も受賞しました。

順風満帆に見えたハミルトンの野球人生は、しかしメジャー昇格を目の前にして狂い始めます。2001年のシーズン前に家族と自動車に乗っていて交通事故にあい、怪我の治療中に不安とストレスからアルコールとコカインの依存症に陥ってしまったのです。これに対しコミッショナーから25日間の出場禁止処分が下され、更生施設への入所を義務付けられます。しかし改善は見られず、2004年には二度目の出場停止処分を受け、メジャーで打席に立つことなく事実上の球界追放となってしまいました。

その後、自殺未遂を起こすなど心身ともにボロボロになり、3年近く野球から離れていたハミルトンでしたが、家族や恩師のサポートを得て依存症の克服と野球への復帰をかけたトレーニングを開始。努力の甲斐あって2006年に週3回以上の尿検査を条件に復帰が認められ、マイナーリーグの試合に出場。オフにルール5ドラフトでシンシナティ・レッズに指名され、翌年、全米1位指名から8年かけてようやくメジャーデビューを果たします。そしてテキサス・レンジャースに移籍し、ここでようやく一流打者としての真価を発揮し始めたのでした。

レンジャース移籍後、初のフルシーズンとなった2008年にいきなり打点王、2010年は首位打者を獲得しMVPにも選出、ヤンキースとのリーグ優勝シリーズでは4本塁打を放つなどの大活躍でシリーズMVPも受賞。レンジャースもリーグ優勝し、チームメイトは飲酒を禁止されているハミルトンのためにクラブハウスで「炭酸飲料かけ」をしたのでした。今シーズンは一試合4本塁打を記録するなど前半戦は絶好調ながら、後半に失速して(カフェインの過剰摂取からくる体調不良が原因と言われています)無冠に終わった上、最終戦で外野フライを落球し、これがアスレチックスの逆転優勝につながるなど、後味の悪い閉幕となってしまいました。

まだ31歳にもかかわらず、まさに波乱万丈のハミルトンの人生は映画化されるという噂があります。しかし、今シーズン始めには禁酒を破っていたことがばれて釈明会見を開くなど、まだ完全な更生には至っていないようです。メジャー屈指の天才的なツールを持ちながら、うまくいきそうになると必ず暗い影がさすのは精神的な弱さからでしょうか。新天地での活躍を与田剛さんの解説で見守りたいと思います。



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