2012年10月17日水曜日

短期決戦の難しさと与田剛


皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、熱戦が繰り広げられているMLBプレーオフの話題。

メジャーリーグのプレーオフは、今年から導入されたワイルドカードゲームが1試合、地区シリーズは5試合、リーグ優勝シリーズは7試合、そしてワールドシリーズが7試合。ワイルドカードゲームが以外は、いずれも半数以上に勝利すれば生き残れる苛酷なレースです。半年間続くレギュラーシーズンがマラソンなら、プレーオフは100m走が3回あるようなもの。しかも負け越した瞬間そのチームは「シーズン終了」になるのですから、明日を考えて余力を残すことはできません。むしろ、なりふり構わず勝ちに行くという、死力を尽くしての戦いを続ける期間になります。熱戦が続くのは必然、選手たちにとってはおそらく1ヶ月でレギュラーシーズン分疲れるでしょうが、ファンにとってはこたえられない1ヶ月になるわけです。

そんなプレーオフで勝つためにもっとも重要なことは、選手の調子を見極めること。調子が悪ければエースや四番打者でもベンチに下げ、逆に調子が良い選手はたとえ新人でもクリーンナップを打たせる、そういった思い切った采配が見られるのも10月のメジャーリーグの醍醐味です。たとえば、今プレーオフでのニューヨーク・ヤンキースの「打てなさ」ぶりは目を覆うばかりですが、とくに不振を極めているA-Rodことアレックス・ロドリゲスは、リーグ優勝シリーズのデトロイト・タイガースの第1戦、9回の同点のチャンスになんと代打を送られ、翌日はベンチスタートとなってしまいました(逆に代打に出たラウル・イバネスは神がかり的な同点ホームラン!翌日は四番を任されました)。首位打者、本塁打王、打点王、MVPも経験したスーパースターのプライドを考えればレギュラーシーズン中は考えられないことですが、監督は何より「今日の勝利」にこだわったのです。その試合は惜しくも敗れてしまいましたが。

対するタイガースは、クローザーのホゼ・バルベルデの不調が大誤算。シーズン35セーブをあげているものの、9月だけを見れば防御率は4点台と明らかに調子を落としてきており、ポストシーズンに入ってからも何度も失点を繰り返しました。とどめは前述のイバネスの代打ホームラン。劇的弾を打たれたのはこのバルベルデ。不調の守護神を何とか蘇らせたいとタイガースの名将ジム・リーランド監督は考えたのかもしれませんが、結果はまったく裏目に出ました。おそらく今後タイガースが勝ち上がっても、バルベルデが点差の均衡したゲームで登板することはないでしょう。

打者に比べれば投手、それもクローザーにとって、プレーオフは選手生命まで縮めかねない大変な期間です。過去のプレーオフを見ると、大事な試合でセーブに失敗したクローザーが立ち直れないまま消えていった例は少なくありません。たとえば1993年フィラデルフィア・フィリーズのミッチ・ウィリアムスは、トロント・ブルージェイズとのワールドシリーズで2試合続けて逆転を許し、ファンからの批判が殺到。オフにトレードでフィリーズを去りますが、その後、剛腕の復活を見せることなく引退していきました。2001年アリゾナ・ダイヤモンドバックスのキム・ビュンヒュンはアンダースローから150km/h近い浮き上がる速球を投げましたが(与田剛さんもクローザーで、157km/hを記録しました)、彼もまたワールドシリーズのヤンキース戦で2試合続けてリリーフに失敗。その後は先発に転向したり、日本の楽天ゴールデンイーグルスにも入団しましたが、打者を圧倒したあの球威を取り戻すことはありませんでした。

プレーオフはとてつもない注目度とプレッシャーの中での戦いだけに、敗れたチーム、活躍できなかった選手のダメージも相当なもの。今季レギュラーシーズン最後の試合で負けて優勝を逃し、ワイルドカードゲームでもあっけなく敗れたテキサス・レンジャースは、打てなかったばかりか外野フライを落球するという信じられないエラーを犯したジョシュ・ハミルトン外野手が「戦犯」にあげられており、FA資格を得ることもあって退団が噂されています。たった一度のエラー、一球の失投のペナルティとしてはあまりにも厳しいですが、それが世界最高峰のリーグで戦うということなのでしょう。与田剛さんの解説で観戦すると楽しさも倍増です。


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