2012年10月8日月曜日

A'sのユニフォームの小さなワッペンと与田剛

皆さんこんにちは。
本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、現在プレーオフを戦っているオークランド・アスレチックスのユニフォームの右袖についている小さなワッペンについて。

黒い布の上に白地で「GJN」と書かれたこのワッペンは、実は喪章。先日亡くなってしまったアスレチックスのパット・ネシェク投手の息子のイニシアルを表しています。MLBチームがユニフォームにこのようなワッペンをつけるのは特に珍しいことではなく、2010年のニューヨーク・ヤンキースなど、同年亡くなったラルフ・ホーク元監督、ジョージ・スタインブレナー元オーナー、そしてヤンキースタジアムのアナウンサーであったボブ・シェパード氏の3つの喪章をつけてシーズン終了までプレーしたことがあるくらいです。

詳細は発表されていませんが、ネシェク投手とステファニー夫人の第一子は、アスレチックスがテキサス・レンジャースと地区優勝をかけて戦っていたさなかの10月2日に誕生。ネシェクはわが子をメジャーリーグの名選手にあやかった「ゲーリッグ・ジョン」と名づけますが、しかしその子は生後わずか23時間でこの世を去ってしまいます。

しばしば日本でも話題になりますが、家族の誕生や死去といった出来事があれば、メジャーリーガーは(監督やコーチも含め)どんなに大事な試合があろうと家庭を優先します。もうずいぶん前の話ですが、日本のプロ野球チームに所属したアメリカ人選手が息子の手術のために試合を休んだところ、大事な試合を放棄したと非難されたことがありました。家族を大事に思う気持ちは日本人も同じでしょうが、仕事と違って家庭に自分の代役はいない、家族のためにすべてをなげうっても尽くすという感覚には、日米の差は大きいように思えます。

家族を失った悲劇の直後、選手は仕事を休んでも非難されることはないでしょう。しかし、ネシェクはプレーオフを戦うためにチームに戻りました。アスレチックスは彼の息子の死を悼んで、喪章を袖に着けて試合に臨んでいるのです。そしてデトロイト・タイガースとのプレーオフ第一戦、7回のピンチに登板したネシェクは、見事に2人の打者を打ち取ってタイガースの追加点を阻止。オースティン・ジャクソンを三振にとってベンチに小走りに帰るとき、ネシェクは左手で右肩の喪章をポンポンと数回たたきました。それが何を意味しているかを理解している満員の観衆は、ネシェクに惜しみない拍手を贈ったのでした。

ところで、ネシェクはメジャーでは珍しいアンダースローの投手。今季は24試合に登板して防御率1.37と活躍しました。プレーオフはまだまだ続きます。ぜひ与田剛さんの解説でワールドシリーズで投げるところを見てみたいものです。



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