2013年1月3日木曜日

MLBのFA選手獲得とドラフト指名権と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、MLBのFA選手の移動によるドラフト指名権の獲得と消失について。

FA選手の動向を報じる米国のマスコミには、よく「market(市場)」や「deal(取引)」という表現が登場します。まさに選手は「商品」、オフの戦力補強は、各球団がいかに良い商品を安く良い条件で「仕入れ」するかの戦いとも言えます。

メジャー球団の収益力にはかなりの格差があり、大物FA選手を多数抱えるニューヨーク・ヤンキースを筆頭に、昨年大型補強を繰り返したロサンゼルス・ドジャースやロサンゼルス・エンゼルス、ニューヨーク・メッツなど、大都市に本拠地を置く球団は潤沢な資金を持っています。これらの「金満球団」に、カンザスシティ・ロイヤルズやミネソタ・ツインズなど地方の中小都市の球団は資金力ではとても対抗できません。そこで、大物FA選手を獲得する球団は次回ドラフトの1巡目指名権を失い、反対にFA選手を失う球団は追加で上位指名する権利を得るという制度があります(与田剛さんは1989年に中日にドラフト1位指名されました)。

ドラフト指名権の保障は、すべてのFA選手が対象になるわけではなく、MLBが認定した一定レベル以上の選手であることが前提です。このFA選手が前の球団に1年間所属していること、そして選手を失う球団は前年度の年俸ランキングトップ125の平均値以上かつ1年以上の契約を提示しなければならないこと(これはクオリファイイングオファーと呼ばれ、今オフから導入されました)が条件になります。これらの条件を満たした対象FA選手を獲得した球団は、次回ドラフトの1巡目指名権がなくなり、選手を失った球団は1巡目と2巡目の間に追加指名を行うことができます。

ただし獲得した球団の指名順が全体で10番目以内の場合は1巡目指名権は失わず、その次の指名権を失うことになります。「全体で10番目以内」というのは、前年の成績が30球団の中で下から10番以内の「不振チーム」ということであり、FA選手を獲得したからといって新人の1位指名権を奪ってしまうのは酷という考えがあると思われます。

たとえば、昨年ニューヨーク・ヤンキースに所属したニック・スウィッシャー外野手がヤンキースとの契約を満了し、ヤンキースからのクオリファイイングオファーを拒否してクリーブランド・インディアンスと契約しました。インディアンスは次回ドラフトで10番目以内の指名権を持っていますので、1巡目指名権は失わないものの2巡目の指名権を失い、反対にヤンキースは1巡目と2巡目の間の指名権を獲得したことになります。

また、各球団が契約する大物FA選手は一人とは限りません。したがって各球団は「失って得るもの」と「得て失うもの」を天秤にかけて慎重に交渉を進めることが必要になります。なんだかややこしいですが、いずれも資金力のある球団に戦力が集中しないよう、つまりはリーグ全体を盛り上げていけるようにMLBが制度をたえず見直して運用しているということです。

MLBに比べてみれば、日本のプロ野球はどうしてもファンより球団の都合で運営されているように見えてしまいます。与田剛さんならどのような感想を持たれるでしょうか。


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