2013年1月6日日曜日

“四球選びのギリシャ神”ユーキリスと与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、先ごろニューヨーク・ヤンキースと1年契約で合意したケビン・ユーキリス内野手。

活躍がそれほど数字に表れず、大きなタイトルも獲ってはいないものの、チームになくてはならない選手がいます。ケビン・ユーキリスはまさにそのタイプで、9年間ボストン・レッドソックスの精神的支柱としてリーダーシップを発揮し、ファンにも同僚にも愛される存在でした。昨年6月にシカゴ・ホワイトソックスに移籍、シーズン終了後FAとなっていましたが、このほどニューヨーク・ヤンキースに入団することが正式に決定。ヤンキースは正三塁手のアレックス・ロドリゲスが手術で開幕絶望のため、当面ユーキリスが代役を務めるものと予想されます。

大柄な体格ゆえにホームランか三振かの一発屋のような印象がありますが、実はユーキリスは「巧打者」タイプ。過去もっとも好調だったのは2008年で、打率.312(アメリカンリーグ6位)、29本塁打、115打点(同4位)をマークしています。本塁打は29本が最高ですが、3割は3回。得点圏打率はもちろん出塁率も高く、特筆すべきは選球眼の良さ。多くの球数を投げさせ、根負けしたピッチャーから四球を選ぶスタイルは、ピッチャーにとっては(たぶん与田剛さんも)嫌なものでしょう。

「四球選びのギリシャ神」というのは、ベストセラーとなった「マネーボール」の中で、オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMがユーキリスの名前を見て発したもの。この本のおかげでユーキリスは注目されるようになり、「四球選びのギリシャ神」も決まり文句のように使われるようになりました(四球を選んで「さすが」と感心される選手も彼くらいでしょう)。

プロ入り以来レッドソックス一筋。ハッスルプレーでチームを鼓舞し、またファンの人気も高かったユーキリスですが、ここ数年は故障もあり、なかなか本調子を取り戻せずにいました。さらに昨年就任したボビー・バレンタイン監督が「プレーに真剣味が足りない」という意味の発言を記者にしたことから関係が険悪化。決してプレーに手を抜かないことにプライドを持つユーキリスはこの言葉にいたく憤慨し、また彼を支持する選手も多かったため結束はガタガタ、チームは地区最下位に沈んでしまいます。ユーキリスのホワイトソックスへの移籍はバレンタイン監督が不満分子を「飛ばした」という説もありましたが、いずれにせよ本塁打が移籍前4本しかなかったのが移籍後15本と当たりを取り戻し、ホワイトソックスファンで知られるオバマ大統領がレッドソックスに「お礼」を言うなどの話題を呼びました。

レッドソックスとヤンキースといえば、日本なら阪神と巨人のように伝統的なライバル関係にある人気チーム。レッドソックスで人気が高かったユーキリスといえど、ヤンキースのユニフォームを着てフィールドに出れば、「裏切り者」としてブーイングの嵐が巻き起こるかも知れません。クリーブランド・インディアンスからもオファーがあったと言われますが、それでもヤンキースを選んだ彼の心情はどのようなものだったでしょう。ヤンキースにはイチロー、黒田が在籍するため、今シーズン、テレビ中継でユーキリスが映る機会も増えるはず、「四球選びのギリシャ神」ぶりを与田剛さんの解説で見てみたいものです。


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