2013年6月20日木曜日

ドラフト指名された車椅子の大学生と与田剛

皆さんこんにちは。本日の与田剛ファンの気まぐれブログは、先日行われたMLBのドラフト会議で起きた心温まる「事件」。

ドラフト会議といえば、数年後のスターが最初にスポットライトを浴びる華々しい場所。ファンやマスコミは「今年の全米No.1はだれか?」を固唾を飲んで見守ります(与田剛さんも中日ドラゴンズの1989年度のドラフト1位指名を受けました)。いっぽう、全体で1000人以上が指名されるMLBのドラフトですから、下位指名の選手が話題になることなどほとんどありません。

しかし、今年は違いました。アリゾナ・ダイヤモンドバックスが34位で指名したのはアリゾナ州立大学のコリー・ハーン外野手。ただし外野手とはいっても、ハーンは車椅子がなければ動けない身体障害者。もともと高校時代にはブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)らとともに全米代表に選ばれた強打者で、卒業時にサンディエゴ・パドレスからドラフト26位で指名されましたが、大学進学を選択。しかし入学直後に悪夢が彼を襲います。試合で二塁にヘッドスライディングして相手内野手の膝に激突し、脊椎骨破砕と脊髄損傷。下半身不随となり、野球どころか一生車椅子の生活を余儀なくされることになってしまいました。

普通の人なら絶望して自暴自棄になってしまうかもしれません。しかし彼は違いました。持ち前の負けん気を発揮して特別仕様の車の運転技術を学び、大学の普通クラスに復帰。野球部のコーチも務め、チームメイトの指導にあたっています。その前向きな生き様は多くの人々の知るところとなり、ダイヤモンドバックス社長デリク・ホール氏も感銘を受けた一人でした。そして、ホール氏は彼を球団スタッフとして迎えようとドラフトで指名したのです。指名は34巡目でしたが、これはハーンの野球部での背番号34にちなんだ順位。どこまでも粋ですね。ホール氏はハーンにスカウト、もしくは球団経営に関する仕事を提供したいとのことです。

セレモニーもなく引退した選手のための「一日だけ契約」もそうですが、このようなニュースを聞くと、アメリカでは野球は単なる娯楽ではなく、社会の一部であり、多くの人に夢を与えたり元気づける存在なのだということが分かります。たとえWBCで優勝しても、アメリカの野球文化の奥深さには、まだまだ日本はかなわないですね。与田剛さんはどんな感想をお持ちでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿